■十章

 

 

 

「後始末を始めましょうか」

 

ルカが行ったのを見送ると、ゲドウ神はパチン、と指を鳴らした。

 

「まずは…彼方の世界へ転送しなくてはいけませんね」

 

椅子に腰を掛けたままの紅茶神の背後でぐにゃりと空間が歪み、紫の鉄の扉、そして悪魔によって謎の空間に放り込まれ夢幻世界の出入り口に佇んでいたクズ神、カス神────否、扉の門番として覚醒した双子が現れる。

 

双子は扉を開くと無言で紅茶神を、ゲドウ神の言う“彼方の世界”へ続いている暗闇の奥へ突き飛ばした。

 

「貴方は友人というよりも、もう一つの家族のような感覚でいました。…ありがとう、ジャック。また会いましょう」

 

彼女の言動と謎の扉の出現。

 

リピート神とエンド神は、一体これはどういうことなのかと事態が飲み込めず、二人揃ってゲドウ神に説明を求めるような視線を投げかけるが、当のゲドウ神は次の工程へとシナリオを進めるべく「リピート神」と彼を呼んだ。

 

「今の今まで、君は気付いていなかったようですが。御前の“繰り返し”の能力は時間に干渉することが出来ます」

 

「え、マジッスか?俺すげぇ…けど、時間干渉って確か未来や過去を歪めかねないから禁忌だって、昔言ってませんでしたっけ?」

 

「えぇ、ですが今回はそうも言っていられません。いいですか、まず目を閉じて心を落ち着けて。深夜が私のことを思い出す前日の日…日付と、正確な時間をまず思い浮かべてごらん」

 

リピート神は言われた通りに目を閉じて、呼吸を整えて心を落ち着かせると深夜がゲドウ神のことを思い出した日…約一年半前の十二月七日、午後八時過ぎ、と思い出せる範囲で思い浮かべてみる。

 

妙な浮遊感に頭がぐらりと揺れ、軽い吐き気を覚え小さく唸った。

 

「……うう…上手くいきました?」

 

「はい。ほぼ正確に思い出せたようですね。今、我々は一時的に過去の時間の中にいる状態です。早くやることを済ませないとまた元の時間に戻されてしまうので、次に進みますね」

 

そう言いながらも続きを言うのが憚られるのか、中々次の指示が出てない。