おひさま〜終章〜 #70
アパートへと戻った浩介は、史緒里の父から託された手紙を手に取った。「浩介へ」という字が、まるでミミズが這ったかのようにぐちゃぐちゃな状態で書かれている。きっと史緒里が、意識が朦朧としている中で書いたのだろう。『史緒里………』いったい何が書いてあるのか………浩介は意を決して、その手紙を開いた。浩介へ。浩介がこの手紙を読んでいる時、私はまだ生きているのかな。それとも、もうこの世にいないのかな。でももう、私にはあまり時間が残されていないと思います。だから、今の私の気持ちを、この手紙に書きます。私と出会ってくれてありがとう。私の彼氏になってくれてありがとう。浩介と一緒にいれた時間はとても短かったけれど、その1日1日が、私にとってはとてもかけがえのない時間になりました。もし浩介や英二、紗理菜、そして与田ちゃんに出会っていなかったら、私はきっと絶望したままの毎日をずっと過ごしていたんじゃないかな、って、最近強く思うようになりました。浩介、あなたはとても優しい人です。私は、あなたのそんな優しいところが大好きです。でも、その優しさが時折邪魔をして、本当の自分を出せていないように私は思います。だからお願いです。浩介には、これからどんなことがあっても、ずっと笑顔でいてほしいです。もし私が死んでから、他の誰かを好きになったとしても、私のことを愛してくれたのと同じくらい、その人のことを愛してあげてください。大切にしてあげてください。こんなことを書いてるけど………正直まだ死にたくないです。浩介と、もっとたくさん遊びたい。英二の試合も見に行きたい。紗理菜や与田ちゃんとも、たくさんガールズトークがしたい。お芝居もたくさんしたい。そして何よりも、もっともっと、浩介のことを知りたい。浩介にも、私のことを知ってほしい。最後に………これだけは、自分の口から伝えておきたい。私はいつまでも、西川浩介を、心の底から、愛しています。P.S.来年も『けやき共和国』行こうね!久保史緒里 より