おひさま〜終章〜 #90
『お疲れ様でしたー』潮紗理菜は、ドラッグストアでのバイトを終えて休憩室へと戻ってきた。英二との交際を始めてから、紗理菜は英二をサポートしようと様々な資格を取るための勉強を始めている。アスリートは体が資本ということもあり、まずは『アスリートフードマイスター』の勉強に取り組み出した。幸い、店長も理解を示してくれ、バイトが終わってからも残って参考書に目を通したりしていた。「紗理菜ちゃん、連日勉強してて大丈夫?」『大丈夫です。ありがとうございます、深川さん』深川麻衣は、このドラッグストアのバイトリーダーであった。普段は舞台女優として活動しており、事務所にも所属しているれっきとした芸能人なのだが、演技だけではまだ食べていけず、ここでのバイトを続けているという。『深川さんこそ大丈夫なんですか?今、次の舞台の稽古に入ってるっておっしゃってましたけど』「悔しいけど、またちょい役なんだ。稽古ももちろんしなきゃいけないけど、こっちだって大切だもん」『舞台、今度見に行っていいですか?』「もちろんだよ。嬉しい」…………なるほど。『聖母』と呼ばれる理由がよくわかる。彼女の柔和な笑みを見ると、どれだけストレスを抱えていても浄化されるような気がした。携帯を手に取ると、英二からメッセージが届いていた。"バイトお疲れ様。終わったら、電話してもらっていいかな?紗理菜に話したいことがあるから"『話したいことってなんだろう………?すみません深川さん、お先に失礼します』「うん、お疲れ様」