おひさま〜終章〜 #274
『よう、史緒里』「浩介、来てくれたんだ」乃木坂高校の文化祭に行く、という約束をした次の日。いつものように、浩介は学校を終えて病院に来ていた。その日も、取り留めのない話に花を咲かせていた。「浩介はさ、結婚とかしたい?」『結婚?』「うん。したい?」大きな瞳でこちらを覗き込む。『そりゃしたいさ。どんなに遅くなってもね』「そっか」『史緒里は?結婚したいとか、あるの?』「私だって結婚したいよ。子どもも欲しいよ。でもそのためには…………ね?」『……………ごめん、野暮なこと言っちゃったかな』「ううん、大丈夫」『どんな人がタイプ?』「家族のことを大切にしてくれる人。…………浩介みたいな…………ね?」『えっ……………』「そういう浩介は?どんな女の子がタイプ?」『……………笑顔の素敵な人かな。…………史緒里みたいな』「ふふ……………」ーーーーーーーーーーーーーーーーーー『………………帰ろ』浩介‼︎聞こえるはずのない声だった。もう、今生の別れになったと思っていた人の声だった。振り向くと、記憶にある姿よりもずっと美しくなった女性の姿がそこにあった。一瞬、その女性が史緒里だと理解するのに時間がかかった。史緒里……………………