坂道グループが好き!『水曜どうでしょう』が好き!あと野球が好き!(見る専門)マイペースにやってます。よろしくお願いします。
こんにちは、作者のユータです。『おひさま〜終章〜』、全289話。ついに、ついに完結いたしましたッ‼︎‼︎想像以上に長いお話になってしまいましたが、沢山のコメント、ありがとうございました。最終学年編に入ってからはだいぶ端折ってしまったところも多く、その辺りが他の書き手さんと比べるとまだまだ未熟だなと思いましたが、今の私ではこれが限界だったみたいです。今後はこのようなところももっと改善していきたいと思います。昨年のページ開設と同時に連載を始めました『おひさま』、2作目の『ウェスターマーク』、そして今作。勝手に『おひさまシリーズ』として進めて参りましたが、今作をもって完結とさせていただきたいと思います。1年以上にわたり、本当に本当にありがとうございました。今後については、現在連載中の『黒い羊』を中心に進めていきたいなと考えています。そして、次回の長編作品も、近日中に公開出来たらと思っています。その合間を縫って、全く違う作品も投稿するかもしれませんが、よろしくお願いします。まずは、『おひさま〜終章〜』を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。これからも面白い作品を作っていけるよう、マイペースで頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。2020年9月12日 ユータ
あれから3年の月日が流れた。西川浩介は、坂道総合病院の系列に入る関連病院に配属となった。3年目の若手内科医として、日々の激務をこなしている。丹生明里は現在も劇団疾風に所属しながら、ドラマや映画へと活躍の場を広げている。そして……………「えーん!」『お〜、どうした、ひか里?』「パパー、ひかちゃんのことお願いー!」1年半前に、長女が生まれた。『おひさま』のようにいつも笑顔の絶えない子でいてほしい、という思いから『ひか里』と名付けた。名前の最後につけている『里』の字は、浩介が愛した、『史緒里』と『明里』の名前から採用した。家族を持って、改めてこの2人を守っていかなくては、という自覚も芽生えた。お互い多忙な日々が続いているが、浩介は幸せだった。この人たちと一緒なら、どんなに辛くてもやっていける。そう思っている。『明里ー、洗濯物取り込んじゃって大丈夫ー?』「あ、ごめーん!浩介、ありがとう!」『久しぶりの『わたり』、楽しみだな』「ね!理佐さんたち元気にしてるかな?」『相変わらず忙しそうにしてるみたいだけど』「ひかちゃん連れてったらビックリするよね!」『腰抜かさないか心配だな』これで、西川浩介の物語はおしまいだ。節目節目で、大切な人との別れを経験してきた少年は、様々な人物との出会いを通して、最高の幸せを手に入れた。自分を信じ続けてきた事は決して間違いではなかった。これからも、培ってきたものを無駄にする事なく生きていこう。『んーっ、今日はいい天気だなぁ‼︎』おしまい。
最初にご報告。このお話の主人公は、『握手会』について非常に否定的な意見を持っています。ご参加されたことのあるファンの皆様には不快な思いを与えてしまうかもしれません、大変申し訳ございません。このお話はあくまでもフィクションですので、その点どうかご了承ください。そして、土曜日。俺は了一と共に、小坂菜緒のレーンにいた。センターを務めるエースという事もあり、人、人、人。これでは2時間待ちくらいするだろうか。しかも今日、俺は参加に必要な握手券を1枚しか持っていない。これでは10秒も時間はないらしい。いくらビジネスだからって……………………俺は、菜緒のことが気になっているから日向坂を見ているだけであり、正直アイドルは好きじゃない。昨今のアイドル業界は複雑すぎて、俺にはついていけない。一大イベントだった総選挙も、俺には壮大な金と時間の無駄遣いにしか思えない。どうせ上位の顔ぶれはそんなに変わらないのだから。週刊誌にすっぱ抜かれただけで叩く厄介者、ちょっとぽっちゃりしただけで罵詈雑言を浴びせる非常識者、連続でセンターを任される子を批判する頭でっかち。どうして菜緒は、そんな危険な舞台に足を踏み込んだのか…………ーーーーーーーーーーーーーーーーーー俺たちの前にも、100枚以上の握手券を持つ奴がいた。CDは1枚1,200円くらいだから、最低でも10万以上。…………こんなことに使うんなら貯金しろ、と俺は心の中で嘆いた。ここにいる奴らはそんなにバカなのか。この会場から出たら、もう二度とこういうのには来ないことにしよう。俺は勝手にそう決めた。つまりは、アイドルの小坂菜緒に会うのはこれが最初で最後…………ということにも捉えられる。2時間近く待って、やっと俺の番になった。了一は一足先に菜緒との握手を終えたらしい、すっげーニヤニヤしてたっけ。俺は妙な緊張感を抱きながら、レーンの中に入った…………
「守!」『んだよ』「昨日の『ひなあい』見たか?」※実際には大阪では放送されていないんですが、この作品の中では全国で放送されているという設定で進めさせていただきます。『なんだそれ』「はぁ⁉︎知らないのかよ!遅れてんなぁ」『うるせーな』「日向坂46の番組だよ!日向坂なら知ってんだろ?」『まあ…………一応は』「はぁ〜…………親友のお前が知らないなんてショックだわ」『了一が詳しすぎるんじゃないのか?』「いーや、違う!守が無頓着すぎるの!」『子どもかよ………』了一、というのが、俺と喋っている相手。1年生の時に、同じクラスになって仲良くなった。この前まで甲子園を目指して野球に打ち込んでいたので、その顔にはまだ日焼けの痕が残っている。短く刈り揃えられた髪の毛もまだ伸びきっていない。そして守、というのが俺の名前。改めて、俺の名前は蓑田守(みのだ まもる)。大阪府内の高校に通う、普通の高校3年生。…………いや、恐らく、普通の人と違う点がひとつある。俺の幼なじみは、日向坂46の小坂菜緒だ。中学3年生の時、菜緒はけやき坂46の2期生オーディションに合格し、大阪を離れた。彼女は校内一の美少女との呼び声高く、みんな『受かる』と言っていたが、案の定合格していた。一方の俺は志望していた高校に落ち、滑り止めとして受けた学校…………いわゆるこの高校に通っていた。菜緒とは、幼い頃から一緒にいた。菜緒のことなら、誰よりも知っている自信がある。了一には遅れてる、なんて言われたが、俺はあいつの出演してる番組も、雑誌も、目を通せる限りは全部見るようにしてる。少なくとも俺は、了一よりは菜緒のことを知っている。でも…………テレビで見る菜緒は、俺が知っている菜緒とはだいぶ違うように思えた。3年も経っているのだから、変わっていない方が少ないとは思うが。とにかく、俺と菜緒は天と地ほどの差がついた。表舞台で華々しいほどの大活躍を見せる幼なじみを、俺は素直に見れずにいたのだ。「なあ、今度日向坂が大阪に来るんだけど」『…………それで?』「握手会だよ!一緒に行かないか?」『握手会ねえ………すっげー並ぶってイメージしか湧かないんだけど』「今度の土曜日、集合な!」『おい!』こうして、強引に握手会に誘われた俺。それはある意味、菜緒と3年ぶりの再会をするということでもあった…………
ーーーーーーソンナコトナイヨ〜♪「小坂ちゃーん‼︎」『伊藤健太郎かお前は』「小坂ちゃーん‼︎」『聞けよ!』俺は今、大阪で開催されている日向坂46の握手会に来ている。今は握手会前のミニライブ中だ。俺の隣で叫ぶ友人に強引に誘われて、ここにやってきた。だが正直、俺はセンターに立つ『あの子』だけを見つめていた……………3年前。『東京に行く?』「うん。けやき坂46のオーディション、受かってん」『ホンマに?』「うん」『そっか…………おめでとうな』「守…………?」『頑張りや、菜緒』「…………うん」菜緒……………急遽浮かんで、書きたくなって投稿しちゃいました。…………ですが、その後はまだあまり浮かんでません。なので、これも不定期更新になるかと思います。小坂菜緒さんをヒロインに据えるのは私のページでは初めてです。ぜひよろしくお願いします。
『白石さん!』「わぁ〜、白石さーん‼︎」"2人ともおめでとう!純奈からちょっと映像見せてもらったんだけど、すっごく素敵だったよー!"『ありがとうございます』「ありがとうございます‼︎」"浩介くん!"『はい?』"お医者さんって、想像以上に大変なお仕事だと思うけど、浩介くんなら大丈夫!自信持って頑張ってね!"『ありがとうございます』"明里ちゃん!"「はい!」"今度のドラマ、共演するの楽しみにしてるから!一緒にいい作品に出来るよう頑張ろうね!"白石麻衣は先日、女優業への復帰を発表。その復帰作で、明里と共演することになっているのだ。「わたし、本当に光栄です!憧れの白石麻衣さんと、こんなに早く共演させていただける日が来るなんて…………もう、嬉しくて涙が止まらなかったです」"もぉ〜、なんていい子なの〜‼︎"『あはは…………』"2人とも、本当におめでとう!末長くお幸せにね〜!"『ありがとうございます!』「ありがとうございました〜‼︎」ーーーーーーーーーーーーーーーーーー「終わっちゃったね」『うん』「でもさ…………改めてわたしたち、夫婦になったんだよね」左手の薬指にはめられた指輪を見ながら、明里は言った。『ああ…………待たせちゃって、すまなかった』「ううん、これからも力を合わせて頑張ろうね!」『ありがとう、明里』次回、いよいよ最終回です。1年以上にわたって書き続けて参りましたが、やっとここまで来ました。皆さんに納得していただけるかはわかりませんが、是非、明日公開までお待ちください。
『終わった…………』「お疲れ様、浩介」着物姿の母・瑞穂だった。手に、亡き父の写真が入った額縁を持っている。『母さん………』「とってもいい披露宴だったよ」『そうかな』「お父さんもきっと喜んでいるわ」『だといいな………』「明里ちゃん、本当にありがとね」明「いえ、わたしはそんな………」瑞「この子のこと、どうかよろしくね」明「………はい」瑞「そうだ。新郎新婦にお客様よ?」『お客様?』「どうぞ、こちらに」『史緒里の………』父「ご結婚おめでとう。遅くなってしまって、申し訳ないな」母「浩介くんも、明里さんも、おめでとう」明「ありがとうございます………」父「史緒里もきっと、祝福していることと思う」『…………』「西川先生、この度は誠におめでとうございます」瑞「久保さん………」「娘は………短い人生でしたが、息子さんと出会って、生きる目的を見つけたんです。その日から、目の色が変わっていったんです。『何としても生きる』と、よく言っていました。本当に、ありがとうございました」「……………」父「明里さん、ご結婚おめでとう。末長く、お幸せにな」明「はい、ありがとうございます!」ーーーーーーーーーーーーーーーーーー史緒里の両親、そして瑞穂が会場を後にした数分後。純「にぶちゃん、いる?」明「純奈さん………?はい、どうぞ」伊藤純奈が、浩介と明里のいる部屋にやってきた。純「お疲れ様、2人とも。素敵な披露宴だったよ」『ありがとうございました』「それでね、2人にどうしてもお祝いを言いたい人がいるんだって!」『お祝い?』「いいですよー」ーーーーーーやっほー!純奈の持つスマホの画面に、白石麻衣の姿が映し出されたのだった。
披露宴には、友人たちを始め沢山の人が来てくれた。「嬉しいね。こんなにたくさん来てくださるなんて…………」『だな………』ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「浩ちゃん、明里ちゃん、おめでとう!」『ありがとう、ゆっかー』「ありがとうございます!」「2人、すっごくお似合いだよ!末長くお幸せにね!」「浩介、おめでとう!」『ありがとうございます、守屋さん』「もうフィアンセとは呼べないね」『ふふ………』「にぶちゃん、おめでとう」『ありがとうございます、純奈さん』「これからの疾風、一緒に盛り上げていこうね」『はい!』「旦那さんと仲良くね!」「浩介、明里、おめでとう」『ありがとう、美月』「ありがとう!」「ほら、優も」「おめでとーございます!」美月の息子・優くん。目元が美月にそっくりだ。「かわいい〜‼︎」『今、何歳?』「7さい!」『小学生?』「そう。1年生」『もうそんな経つんだ………』「今日ね、彰に送ってきてもらったの」『彰さんが?』「うん。色々あったけど、楽しくやってる」『そっか…………よかったな』「そっちこそ。本当におめでとう」「にぶちゃん、浩介くん、おめでとう!」「ありがとうかねむー!」『ありがとう、美玖ちゃん』「いや〜、それにしてもにぶちゃんが結婚かぁ〜………」「そういうかねむーだって、どうなの?」※先日、若手俳優との交際をスクープされている。「…………付き合ってるよ。真剣にね」「そうなんだ………」「ほら、私のことはいいから!改めて、おめでとう!」「お久しぶり、西川君」『ご無沙汰してます、堀さん』「ご結婚おめでとう」『ありがとうございます』「お互い大変だと思うけど、仲良くね」『はい』「よう、少年。いや、もう少年って年齢じゃないよね」『飛鳥さん………』「ご結婚おめでとう」『ありがとうございます。そういう飛鳥さんだって、もうすぐ結婚式でしょう?』「そうだよ。この前、ドレスの試着に行ったんだ」「うわぁ、めっちゃ可愛いじゃないですか!」「いやいや、貴女には負けるよ………浩介」『はい?』「彼女のこと………泣かせちゃダメだよ」『ええ…………頑張ります』「うん。おめでとう、浩介」「西川君、明里、この度は本当におめでとう!」「愛萌、ありがとう‼︎」『ありがとう』「すごいよね。出会ってもう10年も経つんだよ?」『あっという間だったな………』「でも今日の2人、私が今まで見てきた中で一番輝いてるよ!」「上手いこと言っちゃって〜」「本当だって!」『まあまあ。ありがとな、愛萌』「お幸せにね!」「浩介、明里ちゃん、おめでとう!」「ありがとう、祐希ちゃん!」『ありがと、与田ちゃん』「2人とも幸せそうだなぁ」『与田ちゃんは?結婚とか考えてんの?』「もうすぐ27だからね。全く考えてないってことはないけど………」「仕事忙しいの?」「ぼちぼち………かな」祐希は1年前にアメリカから帰国。福岡県の志賀島にダイビングスクールを立ち上げ、インストラクターを務めている。現在はそこに自宅を構えている。アメリカに留学に行ったのはもともとは語学留学のためだったのだが、ホームステイ先のホストファミリーがダイビング好きだったことで再びダイビングにのめり込むようになったらしい。「落ち着いたら福岡来なよ」『ああ』「本当に、おめでとう!」「おめでとう、2人とも」「さりちゃん!」『悪いな、忙しいのに………』「ううん。親友のこんなに素敵な姿、見ないわけにいかないでしょ」「嬉しい」『本当は英二も来てくれたら良かったけど………仕方ないよな』「試合だもんね」その時、会場が突然ざわめいた。なんと、会場の入り口に真島英二が立っていたのだ。突然のスター選手の登場に、会場は一時騒然となった。「悪りい、遅くなっちまった!」『英二!お前、試合じゃねーのかよ⁉︎』「まだ3時間あるからさ!監督に頼んで顔出しに来たんだよ!」紗「無茶するなぁ………」明「あはは!真島君らしいかも。でも、ありがとう!」英「浩介、丹生、改めておめでとう!」『ありがとう』宮「英二君、本当に友達思いだね」英「愛萌、久しぶりだな。俺の高校生活、お前らとの出会いが無かったら、つまんないものになってただろうしさ」祐「ふふ………英二、変わんないね」英「なあ、みんなで写真撮んないか?」『え?』「新しい友情の1ページにさ!」『青いねぇ、お前』紗「オッケー、撮ろう!」ーーーーーーーーーーーーーーーーーー英二が試合前に式場に現れたという描写がありますが、これは松井秀喜さんのエピソードを基にしています。というのも、高校時代の同級生と、元木大介現ヘッドコーチの結婚披露宴が重なり、松井さんは元木さんの披露宴に参列していたそうです。高校の同級生たちは『松井は来られないだろうな』と思っていたところ、突如として松井さんが会場に現れたのだそうです。その後、『結婚おめでとう』とだけ言ってそのまま元木さんの披露宴に戻っていったとか。スター選手ってやっぱり違うんですね。
「浩介………………」『まだ………時間がかかるから。待たせてしまうのは、申し訳ない。でも………俺、お前とずっと一緒にいたいんだ。歳を重ねても、ずっとお前と一緒に…………』「うん…………」『丹生明里さん、僕と結婚してください。』「よろしくお願いします。」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあれから2年。浩介は、無事研修医としての期間を終え、正式な医師となった。その仕事は想像していた以上に過酷だったが、浩介の心には充実感が満ち満ちていた。そしていよいよ……………結婚披露宴の日を迎える………………
高級な寿司屋。みんなで出し合って、久しぶりに豪勢なディナーを共にすることになった。『……………愛萌』「ん〜?」『お前、そんなに色っぽかったっけ』「え〜、そうかなぁ〜」祐「お酒くさっ………めっちゃ酔ってるよ、愛萌ちゃん」『あらら………時間が経ってもそこは変わんないのか』英「これ以上は飲ませない方がいいな」祐「だね」『そういう与田ちゃん、ずいぶん強くなったんだな』「へ?」『前は白目剥いてたのに』「うるせぇ‼︎………なーんて」いたずらっぽく笑った。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー明「楽しかったね」『うん』「持つべきものはやっぱり友達だよね」『うん…………あのさ、明里』「ん?」『俺さ…………もうすぐ、医師国家試験なんだ 』「うん」『それを突破出来たら、研修医になるんだ』「うん」僕と結婚してください。
『与田ちゃん⁉︎』明「うっそー、別人みたい!」祐「へへ、びっくりしたでしょ」『ずいぶんイメチェンしたなぁ』「まあね」英「いつ帰ってきたんだ?」祐「んーと、昨日の夜」紗「連絡くらいしてくれてもよかったのに」祐「ごめん、みんなに会うの久しぶりだからさ。驚かせたかったんだよね〜」宮「久しぶりだよね、この6人で揃うの」『よし………じゃあ行きますか』ーーーーーーーーーーーーーーーーーー宮「人多いね、やっぱり」『でも…………最盛期の時に比べるとずいぶん少ないと思う』「少ないの?これでも?」『高校生の時はもっといっぱいいたからな』英「それこそ、東京ドームの近くとかはすごいよ、この時期になると」紗「目がチカチカするくらいだもんね」宮「そうなんだ…………」『でも久しぶりに来れて良かったよ。それもお前らと一緒になんて、さ』明「そうだね…………」
12月、浩介は久しぶりにあのメンバーで会う約束をした。舞台は、『欅共和国』。ほぼ毎年行っていたあのイベントも、この数年は行っていない。それと同時に、だいぶ客足も減ってきているそうだった。最初に現れたのは真島夫妻だった。英二は、4年後のFA権取得を機にメジャーリーグへの挑戦を希望することを球団側に話したらしい。今シ ーズンは久しぶりの日本一にも貢献、2年連続のシーズンMVPにも輝いていた。紗理菜は、3年間勤務していた幼稚園を退職し、今は専業主婦だ。そして、「お久しぶり、西川君」『紗理菜、そのお腹…………』「半年になる」『ああ…………』妊娠していたのである。紗理菜から連絡こそもらっていたが、実際に会ったのは初めてだった。『改めて、おめでとう』「へへ………ありがと」少しして、愛萌が姿を見せた。愛萌は1ヶ月前に会社を辞め、夢だった専業作家になった。恋愛モノから歴史小説、ミステリーまで幅広いジャンルを手がけている。「久しぶりだね、みんな」『あとは与田ちゃんだけか………』明「連絡はしたんでしょ?」『ああ。でもアメリカだからなあ………さすがにこれのためだけに帰ってくる、ってのは………』「お待たせー!みんな久しぶりー!」
『史緒里の家に行ってたんだ』「史緒里ちゃんの………?」『大学、卒業出来ることになったん だ。本当は母さんに一番最初に伝えるべきだとは思ったんだけどさ』「いや、別にいいわよ。それに浩介なら、ちゃんと卒業出来るって信じていたから」『そりゃ嬉しいね。あと、明里のことなんだけどさ…………』「私は大歓迎………いや、大賛成よ」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『……………』「私も、浩介くらいの年だからね。結婚を意識するようになったのは」『分かってたのか………?』「久しぶりに帰ってきた息子がそんな顔してるんだもん、なんとなくは分かってた。母親ナメないでよね?」『……………』「男に二言は無いね?」『……………うん』「よろしい!それでこそ私の息子!母さん、全力で浩介のサポートするね!」『母さん…………』「せっかく帰ってきたんだから、ごはん食べて行きなさい」『ありがとう。だったらさ、』「わかってる。あんたの大好きな肉野菜炒め、作ってあげる」『ありがとう、母さん…………』
久保家 を出て、浩介は実家に向かっていた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーホームビデオの中では、史緒里がとてもはつらつとした表情で映っている。半年の付き合いで、浩介が見たことのない史緒里の姿だった。「どう?浩介くん…………」「史緒里、とても輝いて見えないか?」『………はい………』ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「今夜はどうするんだ?」『実家に帰ります。母にも、話そうと思っています』「西川先生に?」『はい。年始以来、1回も会ってなくて』「そうか………浩介君」『はい?』「長かったな。8年…………か」ーーーーーーーーーーーーーーーーーー『ただいま』「浩介…………」『久しぶり。母さん』
『史緒里の…………』母「どうぞ、入って」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『………………』「娘が入院した時からそのままなんだ。必ず帰ってくると信じていたが………ここだけは、時が止まったままだな………」部屋中の至る所に、学校の仲間たちから贈られたのであろう寄せ書きや千羽鶴が飾られていた。そして、祐希の家に泊まった時に見た2人の写真も。そして…………「懐かしいわね〜、これ」『セーラームーン………?』「乃木坂高校の演劇部に入ってから最初の公演だったんだよ。あの子、1年生だったのにいきなり主役をやることになってね………」『へえ…………』「子どもの頃から、セーラームーンが大好きだったのよ。おもちゃもたくさん買ってあげてね。それだけに、主役をやりたいって気持ちはとても強かったみたい」「結果的には………それが高校で唯一の芝居になってしまったんだがね………」『そうだったんですか………』「そうだ、その時の映像あるの!浩介くん、見てみない?」『えっ…………』「娘のお芝居、見たことある?」『そういえば、無いです…………』「ぜひ見てあげて。それがきっと、あの子のためだから…………」
母「そう…………」父「……………」2人の反応は意外なものだった。もっと大きなリアクションをすると思っていたのが、普通というか、とても落ち着いていた。『あの、』「明里さんと一緒にいたいというのは、君が決めたことだろう?」『……………はい』「それならそれでいい。娘のことをここまで気にかけてくれて、私たちは君に感謝しているんだ。もちろん、英二君に紗理菜さん、祐希ちゃんにもね」『……………』「ありがとうね、史緒里のこと」『お母さん…………』「浩介君、こっちに来てくれ」すると2人は、2階へと上がっていった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『ここは……………』「娘の部屋だよ」
史緒里への報告、そして思わぬ再会をした後、浩介は史緒里の家に向かった。インターホンを押す。緊張した面持ちで、浩介は返事を待った。「……………浩介、君……………」玄関から顔を出したのは、史緒里の父だった。『お久しぶりです』「ああ…………どうしたんだ?」『お話ししたいことがありまして…………』「そうか………まあ、どうぞ。ママもいるから」『はい、ありがとうございます』ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「浩介くん、」『お母さん、お久しぶりです』「そうね。カッコよくなったんじゃない?」『いえ、別にそんな…………』父「こっちに案内しよう」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「それで…………どうしたのかな。そんなに改まって」『大学、卒業出来ることになったんです』「…………そうか、よく頑張ったな」「これで、お医者さまになるの?」『いや、そうじゃないんです。卒業しても、医師国家試験っていうのに合格しないといけないですし、合格しても、2年間の研修医期間があって。それを経て、初めて医師と名乗ることが出来るようになるんです』「そうなの…………」『あと、明里のことなんですけど………彼女と、結婚を前提に交際をしています』
バルに入って20分くらいした時だった。入口から、この雰囲気に似ても似つかない人物が現れたのである。前髪は片目が隠れるくらいに伸びていた。耳にいくつものピアスが開けられている。服装は半袖のシャツに、ド派手な赤いパンツ。フィンランドは夏が短いので、8月でも気温は20度くらいまでしか上がらない。それだけに目立っていた。いや、それよりも、もっと目立つ要素があった。両腕に、びっしりとタトゥーが入っていたのだ。「liqueur one,please」「Oh!welcome,Yurina!」
「結婚したいんでしょ、明里ちゃんと」『…………史緒里には隠し事は出来ないな』「浩介…………」『…………一生、あいつと一緒にいたいって思った。たぶん…………研修医が終わってからになると思う』「そう…………」史緒里の目に、あっという間に涙が溜まっていった。そして、流れ落ちた。『史緒里…………』「おめでとう」『……………』「浩介、結婚したいって話したの、覚えてる?」『うん』「私………浩介が私みたいな人がタイプだって言ってくれたの、すっごく嬉しかった。ちょっとだけだったけど、お付き合い出来たのも本当に嬉しかった。私が元気になったら、ずーっと浩介と………一緒に、いられるって………」史緒里の涙は止まらなかった。浩介も同じだった。彼女の姿を焼き付けようと、何度も乱暴に目をこすった。「でも………浩介は明里ちゃんを選んだんだよね…………」『それは…………』「浩介、自分を責めないで。明里ちゃんのこと、守ってあげて。幸せにしてあげて」『…………』「浩介……………キスして」頬に手をかざす。触れられる。史緒里は目を瞑って待っていた 。浩介は、自らの唇を史緒里の唇に重ねた。目を開けた時には、史緒里の姿は無かった。
『史緒里……………なんだよな……………?』「はい!」目の前が一気に涙でぼやけて見えなくなった。史緒里は、そんな浩介を抱きしめる。身長も浩介と変わらないくらいに伸びていた。『史緒里……………』「ふふ……………よしよし」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「浩介、カッコよくなったね」『史緒里だって…………年、取るんだ』「私もよくわからないんだけど………そうなんだよね」『……………』「何年ぶりかな、こうやって会うの」『どれくらいだっけ…………忘れちゃったな』「忙しいみたいだね、みんな」『うん………明里は劇団に入ったし、英二は紗理菜と結婚して、チームの中心選手。愛萌も作家になったし、与田ちゃんはアメリカに留学して………俺も、医師国家試験を受ける』「医師、国家試験………」『そう。大学を卒業しただけじゃ医者にはなれないんだよ、試験をパスして、2年間の研修医期間があって、それでようやく医師になれるんだ』「大変だね…………」『うん…………でも、大学は卒業できることになったんだ。それを、お前に報告に来たんだ』「そっか。おめでとう」『でもまさか…………お前が現れるなんて思わなかった』「私もだよ。私も、浩介に会えるって思ってなかった」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『史緒里…………あのさ』「明里ちゃんのことでしょ」