帰宅電車に乗りながらこれを書いている。

長く時間が空いてしまった。



自転車を漕いだ後の7時間授業は思っていたより何倍も辛かった。

しかし、帰ることへの楽しみや不安の方が大きかった。

帰りの挨拶後、僕は一目散に外に飛び出した。

いつもならこのまま歩いて駅へ向かう。でも、今日は違うのだ。自転車の鍵を握りしめた。

友達と共に走り出した。貞山堀の脇を駆け抜け、海風を背中に受けながら5人で。

途中、ミニたい焼きと唐揚げを買った。駐車場に自転車を止めて。

恐らく、僕はこれが青春だと思う。同時に酷く後悔した。今まで死んだような顔で電車に乗っていた。

まあ、全ては慣れだと思うのだが。

食べ終わった後、家に向けて僕らは進み始めた。

そして、往路とはルートを変え、北に向かった。
途中まで友達と帰るためだ。この判断によって、今日の運命は大きく動いたのだった。

夕暮れの雲を眺めながら、自転車の2人は国道を北上する。通ったことの無い道だ。でも楽しい。

そして別れた。とはいえ、道の先まで友達はついてきてくれた。ここから、1人になる。

この時点で空はほぼ黒く塗りつぶされていた。山の奥が少し光るくらいの暗さで、農道を進む。

当初はイヤホンをつけるつもりだった。
しかし何故か、車の音を聞きながら歌うのが妙に楽しかった。

実を言うと、農道では音を塞ぎたくなかったのだ。
そうしてしまうと、聴覚は孤独に苛まれてしまう。

外の音を聞くことで、僕は孤独から身を守っていた。
もちろん、歌は大声で歌った。誰にも聞かれないからだ。自分の作曲した歌。ティーンエイジャーと輪廻転生。改めて歌ってもよくできてると思った。

電車で言うと3駅目を過ぎた頃、ちょうど駅と交錯した。見ると、同じ学校の学生が親の迎えを待っている。

それを見て、なぜだか分からないが誇らしくなった。

踏切を超え、元の道に戻る。そして、夜の農道の最も恐ろしい部分に突入した。

基本的に、歩道がある道を選んで進んできたが、ここから先の区間は歩道どころか、ガードレールすらない道を進むことになってしまった。

長い。長い。とても早いスピードで、僕の横を車は通り過ぎる。僕は神様に祈るしかなかった。宗教というものに僕は関心を抱いたことは無いが、その時に限っては、それしかなかった。

テールランプが唯一の救いで、それが無かったら僕は今この文章を書いていないだろう。

そして、ついに交差点を曲がり、僕はさらに小さい農道に逃れた。ここなら車も来ないと思ったが、案外交通量は多かった。しかし、逃れたと思っている僕は安心してしまっていた。

そこから時間にするとどれくらいになるだろうか。1本道、直線の道路を1人で走った。

この時が1番記憶に残るだろう。夢をひたすらに語った。誰が見てる訳では無いが、自分の将来、希望、絶望。その全てを吐き出した。

そう。吐き出したかったのだ。この自転車の旅はそれが目的だった。この辛い日常の全てを、1度吐き出してしまいたかった。

とにかく、全てを吐き出すのは気持ちがよかった。途中、電車が通り過ぎるのを見たが、羨ましさや疲労感は一切感じなかった。

とはいえ、信号機が見えると安心する。そうして国道に復帰した僕は、休憩を挟み、また山を超えるのであった。

今日はここまで。

その線は水平線。