2024/06/17@浦和

監督 藤井道人

さよなら、アミ

★★★★★


控えめに言ってサイコー。公開から1ヶ月、そろそろ閉幕のお時間が迫ってきたので、2回目の鑑賞。


3月に台湾から始まり、香港やマカオ、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、カンボジアと、アジアの各国・各地域で続々と公開。ベトナムでは日本(台湾の合作ではあるが)の実写映画としては歴代1位の大ヒットを記録。また5月19日からは中国、5月22日からは韓国でも公開を迎え、すでにアジア全域で観客動員数270万人以上、興行収入では25億円を突破した(6月9日時点)


間違いなく清原果耶の代表作となった今作は爽やかな感動を届けてくれる。ジミー(シュー・グァンファン)のことどんどん好きになっていくアミは、突然日本に帰ると言い出す。共に生きられない運命を知っているアミが、これ以上ジミーの心に居残らない様に、好きな気持ちが辛い想いにならない様に身を引いたのかと思っていた。しかし、デートで「LoveLetter」を一緒に観て、お互いの手に触れた時、もっと生きたいと強く願ったに違いない。未来を諦めたくない、そのために治療を受けよう、だから日本に帰るのだ、と。ジミーと飛ばしたランタンに願った「旅がずっと続きますように」は、命よ尽きないでという強い気持ちなのです。


なんと言っても、ランタン祭りに向かう列車の中のシーン。イヤフォンを分け合って聞いた歌は何だったのかなあとも思うけど、ジミーの口から「アミ、帰らないで」と溢れ出た言葉はアミには聞こえなかった…。と思っていたけど、アミの想い出には、その言葉はちゃんと届いていた、届いていたけど敢えて聞こえないふりをした。切ない、あまりに切ない二人なのです。


アミが描いた壁画。あの絵の中にはジミーで溢れています。絶対、絶対、ぜったいジミーが好きだったんだよ。そう思ってしまう壁画ですが、18年が経ち、カラオケ神戸TVは閉店。壁画は色褪せてボロポロになってしまった。それはあの日の二人の想い出のように失われていくのかもしれない。ジミーは迷いながら日本を旅して、アミの故郷に辿り着く。そしてアミへの気持ちに別れを告げる。やっとアミが死んでしまった現実を受け入れることができた、決して悲しい別れではない、新たな人生に踏み出すためには必要な別れなのだと思うのです。