2024/03/27@富士見

監督 山田智和

何もない、エモくない物語

☆☆☆☆

 

まず、佐藤健と長澤まさみの相性が悪い。見た目に不釣り合い。こればかりはどうしようもない。企画の時点で負けている。原作とは大部分で改悪が行われているようで残念。

 

藤城俊(佐藤健)と伊予田春(森七菜)が別れる理由が伊予田の父(竹野内豊)の、なんなら近親相姦を臭わす粘着質的な溺愛。これが気持ち悪い。

 

藤城が弥生(長澤まさみ)とセックスレスになるほど興味を失くしていること、それでも結婚しようとしているのが理解できない。逆に仲良かったときのセックスシーンも見ていて気恥ずかしい。

 

緩和ケア病棟に入院中の春のもとに仕事を休んで、なんなら偽ってまで看護に行った弥生の謎行動。もはや女の執念。春が写したフイルムを現像して弥生のポートレイトが浮かび上がった時のホラー。

 

元カノの手紙で、元カノで頭がいっぱいになった藤城、それを知り弥生は失踪。いなくなって分かる弥生の存在の大きさ。物語的には春の思い出にどっぷり浸っている藤城が、弥生を幸せにできるのだろうか…。

 

そして、何の効果ももたらさない、シングルマザーのともさかりえとLGBTQ+の仲野太賀。

 

誰一人として、気持ちが分かる登場人物がいない、共感できないというトホホな仕上がり。いつになっても物語が始まらなくて退屈。これでは監督の将来が危ぶまれる……。