2024/02/28@富士見

監督 ガイ・リッチー

存在の耐えられない約束

★★★★★

 

「コヴェナント」となんとも中身を想像しにくいタイトルに、いくら好きでもガイ・リッチー監督は今回は大丈夫なのか、早く行かないと終わっちゃうだろうなと思ってました。しかし、今作大満足でした。俺の好きな、クライムサスペンスではないけど、骨太の戦争、社会派、ヒューマンドラマを見せてくれた。

 

タリバン対アメリカでキンリー曹長(ジェイク・ギレンホール)は瀕死の状態に陥る。それでも100キロの山道をアーメット(ダール・サリム)がキンリーを背負って何とか米軍基地にたどり着いた。しかし、約束していた永住ビザは発券されずアーメットは身を隠すしかなかった。

 

アフガニスタンで米軍に協力し、通訳として同胞を裏切らなければならなかった人たちの働きに答えようとしないアメリカの姿勢に問題がある。協力する代わりにアメリカ永住ビザを約束していたにもかかわらず、それを反故にしたために何百、何千ものアフガン人が殺され苦しんでいるのだ。2年前にアフガニスタンから撤退したアメリカ、日本もしかり大使館で働いた現地人を助けられない訳ですし、今なおこの問題は現在進行形なのだから。

 

アフガニスタンという地獄、地獄にしたのは現地人以外の人間だが、そこに生きる人たちの苦悩に、生きていく意味に、想いを馳せるには十分過ぎる映画体験になるだろう。ガイ・リッチーはよくやった、全面的に褒めたいと思う。