何十年ぶりでしょうか。
首輪をせずに、一人で、いや一匹でウロウロしている犬に会いました。
道端に生えている草に、鼻を突っ込んで嗅ぎまわりながら、いそいそとクンクン何かを探している風でした。
毛並みもわるくないし、やせてもないので、どこかの飼い犬が首輪から抜け出して散歩でもしていたのかもしれません。
迷って、不安げって感じでもなかった・・・
犬の不安げ、って表情を想像できないのですが、多分、不安げでは無いようでした。
だって、生き生きしていたから。
私が小さなころ、と言っても、小学生のころは、町を犬がウロウロしていても、驚かない時代でした。
もちろん、つないで飼うのが一般的で、常識的ではありましたが、犬がウロウロしているのが、日常的な光景でした。
今ほど、犬が擬人化されて日常生活の中に存在してなかった時代でした。
犬は、犬だったというか・・・
人に、堂々と、動物として迷惑をかけていた時代、というか・・・
別にそのころに戻ればいいなぁ、というのではなくて・・・
当時、近所の山に遊びに行くと、野良犬が群れをつくっていて、こわいなぁ、と思ったことがあった。
私の住んでいるところは、すごい田舎なので、そんなことがあっただけかもしれないけど、獣としての犬の姿を、垣間見た記憶です。
その頃の、町をうろついていた犬たちを、思い出しました。
なんか、心の赴くままにうろつく時間を楽しんでいるみたいでした。
犬、という種として、生きる権利を行使している、そんな感じでした。