今年も含めて3年、サボテンの花が、年内に複数回咲きます。
二十数年前に、友人からもらった時は、大玉の飴玉みたいでした。
今は、小さめの冬瓜みたいになりました。
肥料や水を、サボテンの育て方の本でも読んで、適切に与えていたら、きれいな球体に育ったのでしょう。
私は、ただ、枯れない程度に水やりをしただけなので、冬瓜になってしまいました。
正直言うと、水やりを忘れるときすらありました。
サボテンは丈夫なので、つい油断してしまいます。
毎年、5月の中旬位に、綿ぼこりくらいのかすかなふわふわが、サボテンのとげの根元に頭を出します。
つぼみかなぁ、子どもかなぁ、とちょっと心が踊ります。
ある日、それらのいくつかは、硬い濃い緑色の球体に、ツンつくのとげをいっぱいとがらせた、子どもサボテンになります。
そして、いくつかは、ふわふわの産毛でできた、毛筆の筆先みたいになります。
ふわふわが、ごわごわになり、筆先が荒々しくつややかな、首筋を伸ばしはじめます。
とげではないけど、産毛ではない、ごわついた体毛のようなものを生やし、くちばしをぎゅっと閉じて、首に力を込めて天を仰ぐ、深緑色のガチョウの頭のように、つぼみは育ちます。
つぼみのうちは、お世辞にも、美しいとも、かわいらしいとも、思えません。
どちらかというと、グロテスクで、獰猛な肉食の爬虫類みたいです。
でも、取り扱いは、慎重に。
ちょっと、触れただけでも、つぼみの重さで根元からぽっきりと、取れてしまいます。
水やりも、つぼみが出来たら、根腐れに注意しつつ、回数を増やして甘やかしてしまいます。
つぼみの先が、うっすら白く色づいてきたら、もうすぐ。
だいたい、6月になるかならないか、という日。
その日の深夜、花開きます。
夜明け前、まだ暗いうち、暗がりのなかで、クリームがかった白色は、ぼんやり光っているみたい。
近くによって、じっと見つめると、きりっとしてはいるけど、甘い香りがします。
ほんとによく香るのです。
一年に一回の、待ち遠しい開花です。
ところが、うれしいことに、昨年、一昨年は、9月にも花をつけました。
年に、2回も咲くなんて、幸せ、と思っていました。
猛暑のせいかな、とも思いましたが、でもうれしくて。
今年は、3回咲きました。
6月と、8月、そして、昨日。
うちのサボテンの花は、夜のうちに咲いて、お昼ごろにはもうしおれてしまうのですが、今朝起きてベランダに行ったら、まだしっかり咲いています。
お昼過ぎても、少ししおれているものの、咲いています。
お日様が出なくて、涼しいせいでしょうか。
もう、香りはありませんが、きれいに咲いています。
うれしくて、うれしくて、たまりません。
今年の夏も凶暴な暑さで、ベランダでは、植物も必死で生きていたのです。
秋になって、きっと一息ついているでしょう。