「シアワセ」 


ねぇ、幸せは。なるものじゃなくて。


 

「幸せは、感じるものよ・・・」 



君は笑いながら僕の口から煙草を外した。 



 

 

 




・・・ 
愛すれば愛するほど。 

君は幸せになれないから・・・ 


君に触れようとした手は。 

無駄に煙草の火を点けるばかりで。 
 



「ねぇ、何も出来ないとでも思っているの?自分のことを。」 
 

 


僕はあわてて2本目の煙草を口に咥えた。 


君は笑いながら煙草を僕の口から外して。 


「ねぇ、幸せは。なるものじゃなくて・・・」 
 

・・・ 


 

 

 





自分を苦しめることで。自分を許していた。 

苦い煙に包まれることで。本当の自分を隠した。 

満たされることのない心に。コーヒーを注ぎこんで。 


もしも、幸せが。感じるものであるのなら。 

「ねぇ、少しは幸せだったの?」 




 

 

 

 

 

 

 



・・・お客様? 

・・・ご注文は? 

「あ、ごめんなさい。コーヒーを・・・」 

休日の午後。楽しげに会話する人たち。賑わう喫茶店。 

「ごめんなさい。やっぱり紅茶で・・・」 



夏の午後。ブラインドから光が差し込んで。 

白いテーブルに反射した。 

目を細めたら、なぜか口元も微笑んでしまって。 
 

・・・ねぇ?こんな出来事で、少しうれしいなんて。 

僕が一番、たくさんの幸せを感じているのかな。 
 


ねぇ、・・・ 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛すれば愛するほど。傷ついた。 

 

 


傷を塞ごうとすればするほど傷口は開いた・・・ 

 

 

 



運ばれてきた紅茶を一口飲んだら、涙が止まらなかった。 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・


「それでも幸せを感じられない日はなかったよ・・・」

 

 

 

 

 

 




君の声が聞こえた気がした。 

 白鳥 海 
 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



「ねぇ、幸せは。なるものじゃなくて。」

 

 



「幸せは、感じるものよ・・・」 

 

 

 

 

 



君は笑いながら僕の口から煙草を外した。