「愛の行方」 


何処に行くのだろう。



それよりも、たどり着くところなんて。あるのだろうか。 

もし、そうだとしても。愛さずにはいられなかった。 


 


 

 




もし、それを。幸せと呼ぶのなら。 

僕たちは不幸せで。 

でも、不幸せの中で。繋いだ手は、幸せを感じていた。 



春の風が、表通りを吹き抜けて。 

恋人たちは、囁きながら歩きだす。 

教会へ続く道。 

繋いだ手、指のリングを絡ませながら。 


僕たちは、繋いだ手。少し力を込めた。 

あなたが何か呟く。 

それが何か、聞き取れなかったけれど。 

僕は、ゆっくりと走りだした。 

あなたの手をしっかりと握って。 



表通りを行く恋人たちをかき分けて。 

僕たちは走った。 

「ごめんなさい。」 

時折、ぶつかったりしたけれど。 

握った手は決して離さなかった。 

ふたり顔を見合せては、笑って。 

裏通りにある、地下鉄の入口をふたりで駆け下りた。 


 





 



・・・

たとえば、ゴールが見えなくても。 


「走り続けるだろう。」 

そのランナーは言った。 


もしも、ゴールが無かったとしたら? 

「それでも、走り続けるだろうね。」 

そのランナーは、楽しそうに言って、去っていった。 


『いつまでも、走れることが出来るから。』 













・・・海が見えてきた。 


何処に行くのだろう。 

わからないけれど。 

僕たちは歩き続けて。 



たどり着いた入り江。 

夕暮れが、降りてきた。 

あなたが何か呟く。 

それが何か、聞き取れなかったけれど。 

僕は、ゆっくりと。 

泣き出した。 
 



そのたどり着いた入り江は。 

・・・行き止まりで。 





 





・・・ 
星が、降りてきて。 

ふたり、いつまでも抱き合って。 

満ちた潮が、ふたりを濡らした。 

「しょっぱいね。」 

あなたは、ゆっくりと。 

泣き出した。 






あなたが、何か呟く。 

それが何か、聞き取れなかったけれど。 

僕は、ゆっくりと告げた。



「また、あなたを愛してしまうだろう。」 


 



 






 



 



ふたりは満ちた潮に、抱かれていった。 

 白鳥 海 
 







 

 




 



いつかの時代に、巡り逢えたら。


 



 


「きっとまた、愛してしまうだろう・・・・」