「月光の下」
あなたにふれた手のひらが、少し熱をおびた。
続く指先は、あなたを探している。
ただ、逢いたくて。
逢いたくて、仕方がなかった。
夢中で飛び出した。
あなたが居る場所は、わからないけれど。
ただ、逢いたくて。
逢いたくて、仕方がなかった。
泣きたくなるほどに。
「・・・逢いたくて。」
探し疲れて、空を見上げた。
・・・
月が僕を、見ていた。
駈けあがった丘の上、月はあまりにも大きくて。
手を伸ばせば月に届きそうだった。
「もしも、この月を見ていたなら。」
あなたは、気付くだろうか。
月に映った、僕の指を。
月光に照らされた指先は、白い光りをおびて。
あなたを探している。
逢いたくて。
ただ、逢いたくて。
「逢いたくて、仕方がなかった。」
白鳥 海