「マリアージュ」 


冬の寒さに震えていても。 

僕の手には薄手のコートしかないだろう。 

ポケットを探してみても何も見つからなくて。 

ためいきが白く染まるだけ。 

きっとこれから先、自慢することなど何もないだろう。 


病める日も、健やかなる日も。






「きっと僕は大したことは出来ないだろう。」 
















・・・

僕が出来るのは。 

本を読むとか。自転車を漕ぐとか。 

ハンバーガーのピクルスを取り除いたりする事とか。 


何も出来なくて。 

悔しくて、震えて眠るとか。 

泣き疲れて、眠ってしまうとか。 




・・・ 
「どちらにしても、眠ってしまうのね?」 

「いいわ。」 

あなたの寝顔が好きよ。 









・・・ 
僕が出来る事は。 

病める日には、心配する事とか。 

健やかな日には、ぎこちなく笑う事とか。 

何かあるわけでもない普通の毎日の中で。 

ただ普通に暮らしていくことしか・・ 





・・・ 
「特別な事に憧れているわけじゃないわ。」 

「普通の。いえ、普通にも満たないあなたに。」 


・・・憧れている。 



















「僕が出来ることは。」 

・・・ 







「私の出来ることは。」 

・・・ 










きっと、ふたりとも大したことは出来はしない。 

何かあるわけでもない普通の毎日の中で。 

ほんの少し笑えたなら。 

























誓います。 

病める日も、健やかなる日も。 


「きっと僕たちは大したことは出来ないだろう。」 


白鳥 海 















何かあるわけでもない普通の毎日の中で。

一緒に歩いて行こう。

少し微笑んで。