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      season4

     episode18

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その扉は簡単に開いて

次のステージへと章が変わった。


しかしながら少し前の景色とは

ガラリと変わるのかと思いきや

特別代わり映え無かった。


ドアノブに手をかけて

立ち止まり、

力んで開けたその先は

拍子抜けするほど

普通の景色だった。


"少しだけ元気が無い"

野根澄しそ美は

意を決して伝えた。


するとしばらくして

"どないしたん?珍しいやん"

"起きたらケロッとしてるの祈る"

と返ってきたメッセージに


(そうでしょ?珍しいでしょ?)

(でも私だって落ちる時あるの)


変な反発心が湧いて

"たまには弱音吐いてみた!"

"言えば疲れるんじゃないかと思って隠す癖がついてるから"


"ま、ほっといてもどうせ1人で乗り越えられるんだけどね!笑"


可愛くない言葉を吐いた。


"別に疲れはせんよ?"

"俺も弱音吐くし少しづつ小出しにした方がええんちゃう?"


その言葉に

田貫登真斗の自然体を感じて

うっ、となった。

たしかに登真斗は

ほどよく弱音を吐いている。

(…いいなぁ、)と思った。


"また時間あるとき電話しよー!"

"たまには私を元気づけて!"


(…あー!可愛くない)

(たまには、が余計!!)


勇気をだして

弱音、という本音を見せたら

登真斗から電話が鳴り

それからあれよあれよと3時間、


日常の違和感、という

気難しい話から

副業の器具が壊れた話、

力まないで頑張る方法など

討論会が始まった。


時折登真斗が

愛情モードに偏りそうになると

しそ美は友達モードに

軌道修正しながら

討論会は続いた。

話し合いがしたかった。


登真斗の日常の話は

しそ美からすると可愛くて

腹が立つ。

話の途中で何度も言った。

「その話、お願いだから他の人にしないで。」


「モテちゃうじゃん!!」


登真斗は笑う。

「そんなん自分だけやって!笑」


登真斗の日常の話は

おっちょこちょい過ぎる。

おちゃめなんだよ。

女の人が聞いたら

母性本能がくすぐられて

好きになっちゃうんじゃないかと

心配になる。

それに気づかないで

自然に話すのやめて欲しい。

そんなふうに

しそ美は時折、不安になるのだ。


登真斗は話の途中で何度も言った。

「好き?」


(女の子みたい…)

そう思いながら

「…あー、うん。」

と返す しそ美。


(私がその役やりたいよなー笑)


自然体の登真斗が羨ましくなり

何でそんな風に聞くのか

聞いてみた。


すると登真斗は言った。

「だって、不安なるやん。」


(不安?!!)

不安という言葉が嬉しくなり

「それ毎回言って❣️」

声を弾ませて即答した。

「私がこんなに好きなのにまだ不安になるの❓嬉しいっ」


いきなり食いつく しそ美に

登真斗は驚きながら

「だって状況的に、な!やっぱりな」

と言った。

シングル2年目となる

フリーの状態を言っているようだ。


あんまり好き好き言いすぎると

調子に乗るから言わないように

気をつけている話をしたあと、


とにかく今は自分に

集中するようにしてる事、

そしたらきっと最終的には

宇宙が味方してくれると

思っている話をした。

「いつかは登真斗を頂きます」

「だから今は自分の事頑張るよ!」

と伝えた。


登真斗はうなづきながら

聞いていた。


力んで開いた次のステージは

なんてこと無かった。

そして

弱音や甘えを言えていないと

思い込んでいたが

「結構言ってるで?」と

登真斗は教えてくれた。


しそ美の思う弱音や甘えは

【つらい…】や

【会いたい…】など

お決まりのものであって

それに似た変換したタイプを

既に伝えていたようだった。

それを教えてもらった。


(…言えていたんだ)

それがわかって良かった。


電話の切り際が

わからなくなって

登真斗が

「そろそろ眠たなってきた」

と言ってくれたので

「またね!」

「またな!」となる。


しそ美の苦手な「またな!」も

3時間の心の分かち合いにより

淋しく無く聞こえた。

きっと満足したからだ、

それも嬉しかった。


(…よし、がんばろ)


しそ美は殻を脱げた。

1人で頑張るよりも

時々こうして討論会をして

現在の状況説明をし合いながら

やっぱり2人で進んだ方が

歩く歩幅が大きいとわかった。


ちょこちょこ1人で歩くより

1歩が大股で進んだような

二人三脚の必要性を

宇宙は学ばせてくれたと

感謝した。


雨は降っている。

だけど心は

晴れ晴れとした

野根澄しそ美であった。*∅


2024.4.4

道照月子

#ツインレイストーリー#大人の童話

~season4episode19へ続く~