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      season4

      episode9

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Happybirthday


この一言を

伝えるまでに

めちゃくちゃ悩んでもがいた

野根澄しそ美であった。


また傷つきたくない、

またヤキモキしたくない、

そんな保身と


もうツインレイをやめたい、

もう無かったことにしたい、

そんな逃げ腰とが

田貫登真斗への本当の気持ちを

たっぷりと

コーティングしていた。


そのコーティングを溶かしたのか

無理やり剥がしたのか、


登真斗の誕生日の0:00に

しそ美はそれを

みんなすっ飛ばした。

一瞬で。


Happybirthday

この言葉と共に運命は回り出す。

しそ美の勇気と

素直な気持ち

そして

すべてのエゴを取り去った言葉が

2人の運命を動かした。


"覚えててくれたんやな"

"ありがとうな"


久しぶりの登真斗の言い回しに

心は弾けるかと思いきや

何故か冷静に

"わたしが覚えていないと思う方がおかしい"

と可愛げなく返す

しそ美。


"明日の午前中まで雨やけど頑張ろうな"

"起きててくれたん?"


しそ美はあんまり嬉しいと

頭が働かなくて無になる女だ。


噛み締めるように

"うん"とだけ返事をした。


(もうここまでで十分だ…)

(メッセージ送ってよかったなぁ)

そんな事を考えながら

嬉しさに少しぼーっとして

しそ美は感無量に浸る。


数分前まで悩んで悩んで

迷った送信だ

こんな急展開に

頭も心もついていけない。


"せっかくやし少し話そか?"


登真斗の提案に

ようやく" うん! "と

文字で感情を表した。


(嬉しい…)

(嬉しい…)

(嬉しい…(;;))


久しぶりに

登真斗の声が聞けるなんて…///

登真斗から言ってくれるなんて…///


けれども

しそ美は2ヶ月前

自らピシャリと

ケジメをつけた事を

忘れてはいない。


それなのに

ご主人を待っていた子犬のように

小さな細いしっぽが

ちぎれるくらい振って振って

登真斗に駆け寄ろうとする自分に

笑うしかない。


と同時に

登真斗と決別したこの2ヶ月

男性性丸出しで

強気に孤独に生きてきた自分の

《本心》というものを

思い知らされる。


"かけていい?"

しそ美はもう

この2ヶ月の硬くて重い鎧が

登真斗のカタコトメッセージに

どんどん脱げていく感覚になった。


(喜んでるじゃんか)

(嬉しいんじゃんか)

(好きなんじゃんか!)

(なんだよもう!!笑)


知らなかった自分

偽っていたことにも

気づかなかった自分を

この時初めて見た気がした。

そのくらい

自分を隠していたことに

驚く しそ美であった。*∅


2024.3.28

道照月子

#ツインレイストーリー#大人の童話

~season4episode10に続く~