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      season3

     episode24

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お彼岸の初日から

早朝に支度をし

お墓参りに出かけるなんて

昔の野根澄しそ美には

考えられない。


お彼岸ていつ?

そんな次元の 

しそ美だったからだ。

"次元"はわかりやすく変容したと

ここでも確信する。


お墓参りをして

晴れやかな空に

心は満たされていた。

明け方おはぎの夢をみて

(そうだ!買っていこう)

と思った。

お決まりの「はい あ~ん」

をお墓の前でやり

1人で食べた。

きっと喜んでいる、と思うと

嬉しくてたまらなかった。


嬉しくてたまらなくて

帰り道のその足で

数年ぶりに本家に寄った。


離婚してから顔を見せておらず

近所のお店で手土産を買って

「ごめんくださ~い」と

訪問した。


久しぶりの親戚は

笑顔で迎えてくれて

懐かしいひと時を過ごす。

子供の頃の思い出も蘇り

こんな時代もあったなぁと

振り返った。


「みんな後から来るよ!」

「待つか?」に

一瞬迷うが

春分までのプロジェクトが

未完成なんだ、

それどころじゃない、と

現実に戻り

おいとましようとした時、


「しそ美は今、何の仕事してるんだ?」

パートと副業の2足のわらじだと

笑って伝えた。


すると親戚は

「遊びにはいい趣味だ」

と言った。


「え?本業にしたいと思ってるよ!」

と答えると

「いやいや(笑)無駄だよ!さっさと金持ちと再婚した方がいいよ(笑)」

と笑われた。


曇りかけた顔色を必死で隠し

「じゃあまた!」と挨拶をした。

くるりと向きを変えて

何故か走り出していた。

逃げるように。


親戚の笑顔が意地悪に感じて

孤独になり

家までの道のりは

無心で車を走らせた。


今までの自分がみんな

間違っていたような

全く次元の違う道を走り

他の人との波長を外れて

おかしな人間に

なっていたかのような、


怖いような感覚になって

その場から

逃げ出したような挨拶で

(…行かなきゃ良かった!)と

嫌な気持ちになった。


しそ美は春分を前に

この感覚をこれから

思い知るのであった。*∅


2024.3.17

道照月子

#ツインレイストーリー#大人の童話

~season3episode25へ続く~