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     season3

    episode15

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春分にむけての新事業。

概要は決まるもまだ未完成。

インスピレーションをもとに

手探りで進む野根澄しそ美。


(またギリギリ完成パターンか…)


このドタバタ劇場の人生に

もうすこし"ゆとり"を持ちたい

しそ美であるが、

走りながら道を選択するスタイルに

今はもう

宇宙を全面的信頼している。


パートが休みの日には

製作を進めることの他に

家事はもちろん

家の荷物の断捨離から

自身のスキンケアまで

やるべき事もやりたい事も

山盛りだ。


"眠たくなるギリギリまでやろう"

そんな身体との向き合い方で

とにかく1日を駆け抜ける。


本日21日参りは11日目となり

買い物の時間に合わせて

産土様への参拝からの

一気に外の用事を済ませる

予定を立てた。


外に出てふと

ポストを開ければ

妹からの手紙。


前回の舌戦で

長年のわだかまりが解け

それ以来の登場だ。

久しぶりに着拒を外し

これからの繋がりに

しそ美は覚悟を決める。


2年前、死にたいと大騒ぎして

家族に心配をかけ

現在も精神科に通う、という

病んだ人物に"成りすます"妹を

しそ美は確実に

更生させる自信はあった。


こんな姿は本当じゃない。

成りすましている仮の姿だと

姉である しそ美は感じていた。


しかしそこに今、時間は使えない、

そう思って関わりを断絶して

2年が経っている。


「…お姉ちゃん…」と小さく呼ぶ

依存と執着の眼差しと

甘えた声が無性に腹立たしく

嫌悪感しか無かったが、

これからはお互い

下の名前で呼び合うルールで

付き合っていくことにした。


姉も妹も無く

人として対等に付き合う形を

選ぶことが、

あの病に居座る妹を

引っ張り出すには必須だと

思ったからだ。


これからまた繋がれると

嬉しそうな妹の声に

安堵感もありつつ

距離感はしっかりとりたいと

痛感している。

これは更生への施術なんだ、

妹への慈悲活動なんだ、

そう感じている。


「次のイベントは4月と6月、そして秋にはこれにも参戦するつもりよ!落ちたり悲しんだり妬んだりしている暇は無い。すべて前進あるのみ!1日を確実に有意義にして目標に近づくワクワク感で生きよう」


「着いてこれる?」


高圧的な言葉と裏腹に

笑顔で伝える しそ美に

妹は

「わかった」とうなづいた。


そして続けて

「悪いけどわたし、けっこう商売できるよ?役に立つと思う」

と笑いながら言ったのだ。


(は??笑)

これには唖然としてしまった。

(さすが妹だわ…調子がいいんだから)

そして「はいよ」と微笑んだ。


泣いたカラスを笑わせるのが

わたしの役目なのか…

しそ美はそう思った。


いつかの母、

父の浮気に泣く母も

こうして幼少期から元気づけては

笑顔にさせてきた事を思い出す。


しそ美が手を差し伸べれば

みんな

しそ美の手を引っ張って

助走をつけて飛んでいく。

時に踏みつけて去る姿に

なんだよもう…と思いながらも

役に立つことで良しとしてきた過去。


自分はこんな役回りなのかな、

と思い目線を下にした途端

"一石二鳥じゃないの♪"という

宇宙からの声が聞こえた。


因縁の妹との

カルマが解消されると共に

自身の事業の

大きな助っ人が出来たのだ。

一石二鳥か。

よかったんだ、これで。


そして"鳥"というワードに

八咫烏様や曾祖母の

おトリおばあちゃんが浮かんだ。


鳥か……。


産土様、そして

宇宙の高次元の存在は

必ずこうして導いてくださる。

ありがとうございます。

ありがとうございます。


葛藤しながらも

邁進する自身を見守る

すべての存在に

益々の信頼が高まる

野根澄しそ美であった。*∅


2024.3.7

道照月子

#ツインレイストーリー#大人の童話

~season3episode16へ続く~