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    episode105

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近所に車を止めて歩いた。


野根澄しそ美の母が

50年前に行った白い壁の駅、

曾祖母おトリさんのゆかりの地、

白い壁の神社。


歩いて行ったが確かに白い壁。

だけど

塗り替えられたのではないか

この駅なのか??


何となく違う気がして

しそ美は車に引き返した。

「御影の駅に来たよー」

写真の曾祖母に伝えた。


駅まで来た事で

満足してくれるだろうと

諦めて車に戻り

最後にもう一度地図を見ると

2つ駅がある事に気づく。


あれ?こっちかな?


そしてこの近所には

気になる神社もそばにある。

時間は16:30

よし、行ってみるか。


写真をダッシュボードに置いて

ハンカチで包んだ蜘蛛と鳥の石に

「行くよ!」と声をかけて

ナビをたよりに

阪急神戸線の駅へと向かった。


(あ!…白い…!)

そして近くの神社へと向かい

白い石の壁に確信した。

(…ここだ…)


おトリおばあちゃんのお位牌が

ある出来事により真っ二つに割れ

当時20歳の しそ美の母が1人

この神社へと向かい預けた地。


夕暮れ近くなった時間だったが

晴天のお陰でまだ陽は明るく

青空のもと鳥居をくぐった。


"神々のパワー"

そんな重々しきものは

またまた感じない 

しそ美であったが

さあ手を清めようかとした

その時、


手水舎の真ん中で

羽を休める一羽のカラス。


(え?!…トリ?!?)


日本では昔から龍神様が

水を司る神として崇められてきた故

普通は龍が手水舎にいるものと

思っていたが

ここではまさかのトリに

ひっくり返りそうなほど

驚いた。


八咫烏(ヤタガラス)という

カラスだった。

その八咫烏の口から水が流れて

手を清めるようになっていた。


しそ美は思わず

おトリおばあちゃんの

写真の入ったクリアケースと

幼少期に見た精霊様を

しそ美が描いた絵、

そして拾った不思議な

"蜘蛛と鳥の彫られた石"に

そっと柄杓で水をかけた。


参拝し

八咫烏の置物のおみくじを引いた。


帰宅したらその置物は

写真の横に飾ろうと思った。


おトリおばあちゃん…

ここだね…

良かったね…

きっと嬉しいでしょう…

どうぞ成仏してください…


感無量の時間をしばらく過ごし

しそ美は関西に来た意味を

やり遂げた気がした。


このあとは

スーパー銭湯にも入って

身体を休めて

最終的浄化をしよう。

そう思って

この神社もあとにした。


"最終的浄化''


それはこれから壮絶に起こる事を

この時の しそ美はまだ

知らなかった。*∅


2023.11.22

道照月子


#ツインレイストーリー#大人の童話

~episode106につづく~