ロシアの論理 | 前山和繁Blog

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このごろ、過去に書いた記事の誤っている箇所が気になり始めてきた、直したい箇所もいくつかあるが、なかなかできないでいる。

英語学習の記事も時折書くことにした。

ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)/武田 善憲

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『ロシアの論理』 武田善憲

アマゾンのレビューでは評判が良いようですが、私としてはあまり価値があるとは思えなかった。

いまいち焦点が定まっていないような内容に見えました。

ロシアは人口が1億4000万人程度でありながらも依然として大国である。なぜロシアが大国であるのかというと国土の広さや、資源の埋蔵量というよりも、2億6000万人にもなるロシア語の話者への文化的な影響力が大きいからだと思う。

言語の影響圏の広さや文化圏の広さが大きいほど、その国は大国だと言えるのかもしれない。

脱線してしまうが、イスラームが世界の中でメインストリームになれない、なれていない理由も言語の問題が大きいのだろう。なぜ気がつかなかったのだろう。

キリスト教と英語の話者は人口規模がともに大きいし重なり合っている部分も大きいだろう。結局はかつての列強諸国の植民地支配と、それに伴う言語(英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語)とキリスト教の支配は重なり合っている。

イスラーム諸国は世界中に植民地を持っているのでもない。それが理由でアラビア語の影響力を大きくできていない。だからイスラームは世界で大きな影響力を持ちえない。

ムスリムでありながら英語を使用できる人間が、飛躍的に増大すればイスラームの影響力は大幅に上昇するだろう。

イスラーム諸国が英語の教育を最重要の課題と捉えることがあるだろうか。

イスラームがなぜ世界の中で主流になれないのかというと、礼拝その他の慣習が理由というより、他国への言語による支配をあまりしてきていないというのと、現在、世界で影響力の大きい英語を使用できるムスリムが多くない。これが理由だろう。

ユダヤ教徒であれば、今日でも、ユダヤの儀式を忠実に守り続けている人々はいるが、それでもユダヤ人の世界への影響力が大きいのである。なぜ、非合理ともいえる規範を守る人々がいながら世界へ与える影響力が大きいのか、その理由はユダヤ人に学問の才があり語学に長けている人々が多いからである。

学問が得意ならばそれだけで、世界の中での影響力は大きくなるし、語学が得意な者が多いというのも様々な場面で有利に働くであろう。

非ムスリム、非ユダヤ人の立場から見たら、ムスリムもユダヤ教徒もともに非合理な規範にとらわれている、にもかかわらずなぜかユダヤ人は世界へ大きな影響を与えている。この違いはなぜ生じるかというと、学問や語学の問題が関係しているのである。この観察が妥当なのだろう。

脱線が過ぎた。ロシアもロシア語圏が大きいというアドバンテージを持っているので、ロシアは日本よりも国内総人口の減少率が高いという問題がありながらも、世界へ与える影響力の衰退速度は、日本よりは緩やかにしか起きないと思う。

『ロシアの論理』は無理に読む必要はないですね。


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