時は昭和、

ミナミでは暴走族取り締まりの為に土曜日深夜から日曜日朝まで主な幹線道路は全て250cc以上のバイクは通行止めというわけのわからん規制がされていて、ミナミの繁華街を横切る千日前には可動式丸太棒が設置されて暴走族を皆殺しにしようとする警察がいたのである。


そこで少年たちは考えた。

単車とかシャコタンでイキって繁華街を走るのって女にモテたいからやん?

オレらはすぐにやらせてくれるアホの女の子と知り合いたいだけやん?

上顎の前歯4本ないポン中のヤクザに勧誘されるとかクソだるいし、暴走族同士の抗争でシンナー中毒のガイキチに刺されて死ぬとか無理過ぎるやん?


特攻服を脱ぎ捨て、接地面がほとんどない八の字タイヤのシャコタンに乗ってナンパを繰り返すことになるのである。

「大阪のヤンキーの女にモテるにはいかに面白いか!それに尽きるんやで、な?」

オレたちはナンパに長けた先輩たちの教えに従って大阪中で繰り返しナンパにいそしむ日々がおとずれた。


家の前にうるさい車が止まった。

ドォードドーどっどっど

L型ソレタコデュアルの音、ビンビンっとベンツホーンが鳴った。

服を着て表に出たらヤスオがブタケツローレルで待ってた。

助手席に乗り込んでタバコを吸って窓を全開にした。

「言いにくいねんけどもな、ガソリンないねん、あるのは車とカラダだけやねん助けてくれるか?」

「何を水臭いことゆーてまんのや?ワシが3000円いれまんがな、アニキ、なんでもゆーておくれやっしゃ」

「お、金持ち!なんぼあるねん?」

「昼にパチンコでしのいだからのぅ、2万はあるで、ディスコ行こや」

「もう1時やで、今からディスコもったいないやろ?どうせこんな時間に行ってもロクな女おらんで、それにオレの服見てみろや」

ヤスオ、ヤンキー丸出しの変な服着とる。

ヤンキー御用達のダンバーかオランダ屋敷みたいなとこならなんとかなるかもやけどw


「ガシでも徘徊しようぜ」

通称ガシ、堺東の夜の繁華街の隣街。

田舎やねんけど、謎にヤンキーの女がナンパ待ちしてる街。


ぶらっとガシに入ったら同じような改造車がウロウロしとる。

歩道に女の子2人組発見💡

声をかけてみる。


「なあなあ、オレら漫才コンビやねんけど、ちょっと新ネタ聞いてもらわれへんかな?」

女の子

「アタシらシンナー欲しいねんけど、持ってない?」

オレ

「話噛み合わんなぁー、もしかして自分ら、シンナー吸うたらお化け見えるタイプ?」

シンナー少女はダルいんで、はい次!


ジュース買いにコンビニ駐車場で車から降りたら、変な古臭いサニーの改造車に乗って変な兄ちゃんがいてる。一人で。

片手にビニール袋持ってシンナー吸うてるww

チラッと見てワロてもうた、

それに気づいたか、幻覚を見てるのか、

「あああ?ゴラァ、オマエらどこの暴走族のチームじゃあ?」

絡まれたw

「え?オレにゆーてんの?オレらハマチ族やで、暴走族ちゃうねん、ハマチは適度に群れるけど、暴走族みたいに大群にはならへんねん、わかりますかぁ?」


シンナーおじさん

「なにをいうとんじゃああ、ワシは天邪鬼のアタマじゃこら、なめてたら殺すぞ」

堺に実存する暴走族やねんこれがまためんどくさい。

たぶんこいつ20才過ぎとる。

だいたい誰かわかる。


「おいこらおっさん、ケンカ売ってんのか?車ごとひっくり返したろか?ハマチ舐めてたらブリになられへんのじゃあ」

2人で車ユッサユッサして

「地震じゃーこらあああ」

ゆーたら

「おまえら殺したるぅううう」

とだけ言い残して

シンナーおじさんはタイヤをキャッキャ鳴らしてゼロヨン並みの好スタートを切り、、いずこかへ。


「今のアレやろ?昔の天邪鬼の有名やった人やろ?」

「いつまでも暴走族たらなんたらゆーて進歩のない、暴走族を卒業してハマチ族にもなられへんようじゃああかんな、それにシンナーとかすんどるやろ?

オレらハマチは出世魚やから未来があるやん?」

「オモロいか?オモロないか?

ワシら常にdead or liveやからの」


しばらく車を走らせた。

カーステでかかってるのはBOØWY

バンドをやってる友達に録音してもらった。

キタのボトムラインってライブハウスもやってるディスコに先月、見に行ってきた。

ヤンキーの巣みたいなその大箱は100〜200人の客がいてライブが始まる前のディスコタイムはフロアいっぱいにイモ臭い高校生ヤンキーみたいのが踊ってたけど、BOØWYがステージに出た瞬間にはつまらなそうに席に戻った。

ステージ前に来てるのは15人ぐらい。


氷室が汚い服で出て来て不機嫌そうに歌ってた。

背が高い布袋のブーツを殴り続けた。


〜〜


ヤスオがカセットテープを替えた。

ちょっと待って?

「あーこれな、積み木崩し的な変なヤンキー少女映画の主題歌のバンドやな」

「いや、意外とええねんて」

聴いていくうちにかっこいい曲があった。

「おおこれ、めっちゃかっこええわ!」


The Street Sliders


当時は映画も陳腐にしか見えなかった。

オレたちは不良少年の当事者だから、映画やなんかに描かれる大人たちから見た不良少年少女はリアルとれ全くの別物、本当のオレたちとはかけ離れてるって言いたかった。

当時は手短に楽しいことをしていたかっただけ。

オレたち不良少年少女たちの世界は狭かった。

良い大人にそこから良い場所に連れて行かれた友達は、沢山いたかのようにも思う。

オレもそうされそうになったけど、拒んだ。

当時は仲間たちから離れて海外だとかの外の世界へ出る勇気がなかった。

毎日が楽しかった。


その日の帰り道、明け方にパジャマを着て歩いてるお姉さん2人組を発見し確保!🤩

ホステスの年上のお姉さん。

ぐるぐるドライブして仲良くなってそのまま朝から家に遊びに行ったら、ビーチで👙セクシービキニのおねいさんと味付け海苔みたいな太くて濃い刺青眉毛の男の人とのツーショットの写真が飾ってあって現在刑務所に行ってる旦那さんだと説明された。


「あと7年なのよね、ウフン❤️」

ヤクザが場当たりでヤクザを殺しても10年少しと言われた時代である。😨😨







てことで今夜、

Street Sliders神戸公演行ってきます。

😎

何着ていこ?