ソファで意識が落ちてた。

品物を道具に詰めてるうちにまどろんでた。

かろうじて手にマイジェクターは人差し指と中指と親指の三本の指に乗っかってる。

指の力は完全に抜けてた。

品物を詰めてコップに汲んだ水道水を吸い上げたところで意識が落ちてた。

ふっと思いついて寝ぼけたまま近くにあったタオルで腕を縛って静脈に注射針を刺そうとしたら空気をまだ抜いてないことに気づいた。完全に寝ぼけてる。

タオルを投げて注射器を左手で持って右手を添えて持ち上げた。

針を上向きにして目の前に持ってきて部屋のLEDにかざした。

シェイクしてないまま時間を経たシリンジのなかの結晶と水は少しずつ混ざり合い、傾けるとゆらゆらとカゲロウを作りながら落ちてきた。シリンジの腹に指を何度か擦らせると中で結晶がくるくると回りながら、みるみる小さくなって溶けていく。


今、身体に蓄積されてる品物はかなりの量だと思う。

膝の上に後で使うティッシュを2〜3切れ置いてから、再びタオルで腕を締め付けて捻り、その先を脇に挟んだ。ソファに立膝を立ててその上に左腕を伸ばして乗せた。

注射する場所はあちこちにある。左右肘内に数カ所、左腕の肘外

特に使う肉が少しわかりやすくなってしまっているのが左腕の肘の内側の2か所だ。

一つは潰れてもう入らない。

道が出来て何年も何千回も縛らずにずっと秒で入ってて雑な扱いをしてたから潰れた。

たまにヘ###常習者の友達が空打ちをしてたのを見かけた。

血管のメンテナンス、道確保。

針を抜いたり刺したりしながら水を少し入れて血を引いたり押し込んだりをする。

要は注射タコが肉を巻いて硬くなってるところに針が通りやすい肉の柔らかい部分を作り道筋を作るのだ。


腕の注射痕の部分に針を少し立て気味に刺す。

ずっと使ってる場所だからそこには道が出来てる。

スッと血管の壁を超えたのが指先に伝わる。

人差し指と中指で押し棒を挟んで軽く引くと血が逆流してシリンジに入ってきた。

真っ黒くて重い血がシリンジの下の方にたまった。

コンディションはすこぶる悪い。

ぐずぐずしていたらこんな汚くて重い血はすぐにダマができてしまう。

脇を開いたら縛っていたタオルがゆるまる。

血管を抜けてないことを確認するためにほんの少し引いたら黒い血が逆流する。

ゆっくりと押し込んでいく。

押し切って2〜3回ポンピングしてたら強張る右手。

強張るから変な風に針を抜いてしまいそうになる。

抜いた。

注射針を抜いたところから黒い血が小さくて黒いてんとう虫みたいに丸く出てきた。そこをティッシュでおさえた。

感覚がギシっと硬くなった。

タバコに火をつけた。

深く吸い込んだ、タバコがうまい。

なんの予定があるわけでもない。

その日暮らし、好きな時にシャ#を食ってる。

何にも囚われることもなく、好きな時に好きなだけ身体がもつ限り寝ないでシャ#を食ってる。

行き当たりばったりでシャ#を食ってる。

タバコを吸うような感覚になってる。

2〜3日寝ずにいて、半日寝て、1日ぐらいはシラフで過ごしてもう一度寝る。


少し寝た後にアクエリを水で割って飲む。1少ししてから突くと色が薄くて綺麗な血が針に吸われてシリンジにツーっと一直線のラインを描きそして混ざる。



相合橋のトイレでいつも一発、立ったまま突いてたのも懐かしい。
そんな時間を繰り返してた。
ポン中の幸せはなにもしないでいい、なにもとらわれない縛られていない時間が限りなくあることだと思い、それを実行して何年も過ごした時期がある。
足の指の先から頭の毛の先までどっぷりとシャブに浸かった。

毎日飽きもせずに好きなだけの量を入れて限りない時間を繰り返してた。
ひたすらにシャ#にボケてた。