昔、行き合った奴、アーリーはめちゃくちゃ男前でな、孤児院で育ったとか言ってた気がする。

初めて会ったのはミナミの今で言う裏ナンバやな。

夜中に先輩と飯食ってるとこに来てちょっと喋った。

「今、ラブホにホテトルの女待たしたままなんですよ、その女帰れへんゆーてね」

まじまじと顔見たなぁ。

アイドル級とか超えるぐらいに綺麗な顔の男でな。


(ああ、そらこんな男前きたら風俗の女の子もびっくりするわな、顔至上主義みたいな女やったらどうにかして彼氏にしたいとなるやろなって思った。)

カバンからクレジットカード5〜6枚出してきて

どうですか?まだ使えますみたいなことを言ってきた。

いやいや寒いやろ?言うたら笑って

「さっきキャバクラでこれで40万払えましたよ」

みたいなことを言ってた。

昔はクレカに暗唱番号とかなかったわけよ。


何回か会った気がする。

それからちょっとして元町の看板出してテナントでやってるゲーム屋で何回か出くわした。

ハイブランド着て金持ってそうな女と一緒にいたわ。

店の前に新車みたいなロリンザーのベンツの S停めてた。

アーリーの連れてる女の親父がヤクザでその親父の車やとか言ってた。

どっかで車上荒らししてきたみたいなことも言ってたな。


フルベットでポーカー叩いてたわ。

何回か20万とか30万とか出してその度にオレとか何人かに2万ずつ祝儀やとかゆーて配ってたな。

何時間かしたら50〜100あった金もなくなったんか知らんけどまたどっか仕事してくるみたいなこと言うてベンツを女に運転させてどっか消えた。


それからしばらくしてオレが仕事辞めてふらふらしてる時にオレのマンションがポン中の溜まり場になっててついでにポン中のヤクザにゲーム機置かせてた。

タカって奴が当時仲間内におってな、アーリーはその頃にタカとも知り合うわけよ。アーリーの金回り見てタカが車上荒らしに興味持ってやな、2人で高級住宅街で車上荒らしして回り出した。

当時はセキュリティも甘い時代でやな、車に金持ちの旦那がへそくりのキャッシュカードとか入れるとか頻繁にあったんちゃうか?

よく免許とキャッシュカードがセットで出てたらしい。

防犯意識も低い時代で誕生日を暗唱番号にしてるなんか当たり前の時代よ。

しかも1日でATMから500とかいや、制限なしか?なんせちょっとした大金がその日におろせた。

夜中に車イワして、盗難届が出る前にATMに行く。

免許見て暗唱番号を誕生日で打ち込んだらビンゴ!や

しょっちゅう500とか800万とか出してたな。

どないもならん日はドリルで自販機に穴開ける。


金持ったらすぐにタカが大好きなタブ、サイコロ博打な、タブ道場に行くわけ。

ガサ対策に床ぶち抜いて階下に逃げれるようになってたあの43沿マンションよ。

200ずつぐらい持って行っても万札束でテーブルに置いて朝までサイコロ🎲振ってたらなんにもなくなるがな。

たまに腹いせにタカがそこで弁当箱ぐらいの大きさの品物パクってきてたみたいやな。

オレの部屋に朝とかにいきなりきて

「綺麗な紙出してみ」

ゆーてノートか便箋の紙1枚だしたらそこに500gぐらいの品物入った袋出してきた。

そこからザラララって品物を20〜30gぐらいを紙の上に落とすわけ。

「いつもお邪魔してるからな、場代や」

何回もあったな。

あっこはちょっとした卸元でもあったからな。


ある日オレの部屋にタカとアーリーが来てた時、ぺちゃくちゃ喋ってた。

他の人間もいて4〜5人でソファーに座って、品物突いたり飲み物飲んだりしてた時にアーサーが腕出して突いてくれみたいなこと言い出した。

アーリーはそれまで炙ってただけらしかった。

タカか誰かが突いてやった。

入りにくい奴とかちょくちょくおるからよくある光景やった。


なんか今考えたらアーリーは少年時代から少年院とかいたけど、それまではそんなに深い友達おらんかったんちゃうかな?

タカは無茶苦茶な奴やから何考えてるかよく分からんかったけど、アーリーはめちゃくちゃ純粋な奴やったから勝手にタカとは一蓮托生やと思ってたんとちゃうか?



それからしばらくしてどっかでヘロイン効いてる奴が運転してたとかで車上荒らし道中かなんかに事故起こしてアーリーだけが大怪我した。

腰か足かどっかの骨折ったとかの話やな。

アーリーが

「オレのことはほっててええからみんな逃げて」

ゆーたらしい。

車がヤバかったんか何かヤバいことあったんかな。

まあ常にヤバい奴の集まりやったけどな。


それからしばらくしてタカとアーリー、それともう1人でまた連んで車上荒らし回ってたらしい。

アーリーはまだちゃんと歩けんまま、松葉杖かなんかやのに連れてってたんかもわからん。


連続でとある高級住宅街を車上荒らししてて警察に待ち構えられて張られてた。

広いパーキングかなんかに入って車上荒らし始めたらいきなりルパン3世のアニメみたいにいくつものサーチライトに照らし出されて取り囲まれた。

出口も警察車両に塞がれてた。

慌てて乗り込んで発進させて車をパトカーに何回も体当たりさせて大暴れして逃げようとしたけど捕まってニュースになった。


それをまだヘロインで死ぬ前のシゲくんと難波中のマンションのゲーム屋にいる時にタカからシゲくんに来た手紙で知った。

「Rのこと頼むわ」

それはタカの彼女がヘロインをやる女だったから

その供給を頼みたいという意味とシゲルくんは取った。


シゲル君はそれから10年は生きてて

同じヘロイン中毒からしたら長生きした、と言われて

快楽の果てで天国の裏側にそのまま落ちて死んだ。


アーリーは身体が上手く治らなかったと言う噂もあったけど真偽はわからない。


タカは数年後、オーストラリアにキロかなんか品物を持ち込んで捕まってそのままオーストラリアの刑務所に服役。

たった4年だったらしいからずっとまえに帰国してる筈で、今はどこかで元気にサイコロを振ってるかも知れんし、全国の彼の実家である刑務所に帰ってるか、くたばって死んでるかしてるかもな。


time goes on


※文中にある個人名は仮名としている。