えつるとはまだ続いてた。

ゆみともまだ続いてた。

いや、会ってSEXしてただけだろ?

そんな人間だった。

女と付き合う?なにそれ?って感じ。

ラブホテルには週3回ぐらい入るんじゃない?

シャブをやると女が欲しくなる。

ヤッたら帰る。

いや、帰らない。

その辺で小博打する。

麻雀、バカラ、なんでもやる、勝ち目のある博打ならなんでも。

ポケットに50万か100万、二つ折りにして入ってる。増えたら100を輪ゴムで巻いて家のバケツに入れる。

勝率はそこそこ。

いい時代だった。


あ、そうや、ホテルから出て昼メシ食って周防町のバカラ屋にあいつと暇つぶしに入った。

あいつに10万分のチップを持たせた。

あいつが一万ずつ賭けてた。

オレが40万ぐらい走った。

それを見てオレの逆さまに1万ずつ置き出した。

「私が取り返してあげる!」

真面目な顔をしてムキになってた。

いや、オレお前の逆さまに5万ずつ賭けてるしな、と思った。

おまえが勝ってもマイナス4万だと、、でもそれは言う気にならなくて面白かった。

笑って帰ろうと言った。

後で友達にその話をしたらみんな笑った。

「オモロい女やろ?」


可愛い女だった。


一緒に暮らしだした。

あいつが帰ってくるのはオレより遅いことが多かった。

深夜3時、オレが部屋でいると電話が鳴る。

「むー、電気点いてるね」

「うん」

「嬉しいの」

タクシーで部屋の電気を見つけたらあいつは電話してきた。


狐色のチワワのタラを抱いて待ってた。

2人と1匹で夜中のコンビニに散歩に行った。

少しして、白に赤茶色ののチワワを飼いだした。

リコって名前をつけた。

2匹とオレたちは夜中の公園で走り回った。

楽しかった。

はしゃいでグルグル公園の中を走り回った。みんな夢中になって公園の中を楽しくて楽しくて仕方なかった。

毎日が急に始まった夢のように楽しかった。

他に何もいらないとさえ思えたけど、

夜からはオレもあいつも仕事が待ってた。


オレは裏切ってた。

その次の日にはシャブをやってた。

あいつはまだシャブをやってる男のことを知らなかった。


10代の頃から大好きだったキョウコから電話があった。

「ムーチン、元気?」

忘れてた。

デリカシーのないことを電話で話してしまった。

今、幸せ過ぎるとかペラペラ喋った。

シャブで頭がおかしかったのかもしれない。


毎日、昼には起きて近くの美味しいお店でご飯を出前して食べた。

夜中にTSUTAYADVDを借りて見た。

恋する惑星と天使の涙を観たのを覚えてる。

金城武が良かったよね?

夜中に勝手に他人のホットドッグ屋か何かの店の鍵を開けて勝手に営業を始める。

そこに毎晩女の子が現れて。


全ての風景はオレたちの恋を彩ってた。

おまえが後から言ってたように

あの頃はオレにとっても青春だった。


「口笛吹ける?」

吹いてみせた。

宇多田ヒカルの古い歌を口ずさんだ。


しばらくは幸せだった他のこと全てなんの問題もなかった、いや、問題だらけでも良かった。

タラとリコとあいつがいた。

それで良かった。



あいつの目の中に疑惑が芽生えた。

シャブはバレてる。

他の女たちとのことも。

密告したポン中ヤクザがいた。