西村が売り子をすると聞いてたその日の昼過ぎにド#ちゃんの部屋に行った。

いつものように部屋で1発食ってたらドアをノックされた。

ド#がドアを開ける前に、はい!ゆーたらドアが開いた。見るからに西成の組織の人間やとわかる40ぐらいのヤクザが1人入ってきた。


場代の徴収と面通し。

ド#が振り向いて、西村にこっちに来いみたいに目配せした。

西村が「お願いします」

男は無言で西村の顔とナリを20〜30秒ぐらいジッと見た。

そのあと、オレの方を見てド#にアゴをしゃくった。

「こっちはちゃいます、客ですねん。」

怪訝な鋭い目つきでオレを睨んできた。


場代を徴収している組織の人間たちは数十秒で顔を覚える。

そして、その組織なら堺筋太子交差点から数百メートルの現場ショバに立ってる人間を全員把握していて、毎日数時間毎にパトロールしていた。

知らない顔が立っていないかを確認しにくる。

もしも場代を払っていない人間が紛れ込んでいたら?

瞬間、車に詰め込んでさらう。

真横にいる他のタチンボも気づくか気づかないほどの早さで。

ヤキを入れる場所に連れて行く。

容赦なくヤキを入れる。


当時、○会の場所、現場でモグリがいたら数時間木刀で殴られ続けて腕の一本も折られる。

そんな話は大阪に住んでたポン中のあいだでは当たり前に誰でも知ってる話だったと思う。


麻薬特例法違反、薬物そのものを売っていなくても場代を徴収していたとしての罪として検挙

その数年後ニュースとして流れた。

だがその金額は到底、実際の額とは1桁どころか二桁ほど違っていた記憶がある。