今日は滅茶苦茶ヤバそうだ。

もうコーヒーも四杯目、口の中がコーヒー色になっている。

口に含んでも味がしない。

インスタントだが限度を超えて濃く淹れた。

とにかく眠い、睡魔と夢魔が手を組んで二重、三重に罠を張って襲ってくる。

連日、二時間ほどしか寝てない、それが効いた。

おまけに昨日の夜TVでゾンビゲームのシーンと貞子の恐怖映画の予告編を見ちまった。

あれがとどめだ。

壁を突き破ってコアラのゾンビが襲って来る、部屋から脱出すると何を製造しているのか分からない工場の中、追いつかれて、怪物の爪が肩に触れるとリアルに痛い、しかし無音である事で夢だと自覚する。

今の今まででスマホを見ていた、目が疲れてほんのちょっとまぶたを閉じたその瞬間を奴等は確実に捉える。

手からスマホが滑り落ちる、その感覚で目を覚ます。

助かったとふと溜息、油断があって再びまぶたを下ろしてしまった。

それを奴等は、見逃してはくれない。

又夢の中、友達のケンイチが自転車に跨がって助けを呼んで来ると俺に言う、嘘だ俺にケンイチなんて友達はいない。

目が覚めると両親が心配そうに俺を見ている。

これも嘘だ、両親は既に亡くなっている。

奴等のやり方は手が込んでいる、逃亡困難だ。

そう言えばさっきのコアラのゾンビは何処へ行った。

恐怖が胸を締め付ける。

意識を鼓舞して目を覚ますとやっと自分の座椅子の上、助かったと思うとストーブが付いている、スイッチを入れた覚えはない。

此処はまだ夢の中だ。

三秒隙を見せれば持っていかれる。

短編だが恐怖映画を何本も見せられた。

外傷が出来る訳では無いのでその点は我慢出来るが心にトラウマが出来そうなほど強烈だ。

奴等は自分の世界では、自在に攻めてくる。

それでも迷走に迷走を重ねた後、何とか脱出。

見るとさっき淹れたコーヒーが冷めたまま飲み残してある。

「勘弁してくれよ」などと呟きながら飲み残したコーヒーをすする。

多分この間七分ぐらいは寝た筈だ。

再びスマホを手に取る。

今の出来事を忘れ無い内にブログに書いておこう。

今度こそ目はつぶらない。

奴等の正体を書き残してやる。

最後は俺の勝ちだ。


by  konoe73