『長いお別れ』 中島 京子 著 | アラフィフだって人生はゆめだらけ・・・だといいな
借りておきながら、
何となく読むのが怖かった本です。
 

 

 

 

 

70代の夫婦と3人の娘の物語。

70代の夫・父親が認知症になり

悪化してからの2年間ほどが

描かれています。

 

自分の両親が、

そして、そう遠くない将来の私自身も

もしかしたらこうなるのかもしれないと思うと、

もう、本当に、心が締め付けられるようでした。

 

認知症が悪化した夫・父親は

薬は拒否、

入れ歯は隠す

何をするにも

「イヤだ、絶対にイヤだ」と言います。

 

デイサービスに行く時は

行くのを嫌がり、

帰りは車から降りるのを嫌がり、

家に入れるのに一苦労です。

 

食事も入れ歯も薬も

口を真一文字につぐんで断固拒否。

 

かと思うとティッシュペーパーを

口いっぱい頬張ってみせるのです。

 

そんな夫を二人暮らしの妻・母親は

本当に献身的に介護しています。

 

自分が網膜剝離で失明するかもしれない

ということもほったらかしにするくらい。

 

娘に責められた母親はこういうのです。

「だって毎日いっそがしくて、

目の前がちらちら黒いなんてこと、

どうだっていいと思ってたのよ!」

 

ヘルパーさんが入って、

週2泊ショートステイしていても

そんな状況なのです。

 

確かに読んでいるだけで

グッタリしますキョロキョロ

 

それまで距離を置いていた娘たちも

父親の介護がもはや母親には無理だと悟り

施設を探し始めるのです。

 

一番切ないのは

夫・父親の口癖です。

 

「そろそろ帰ろうと思ってね」

「じゃあ、俺は帰る」

「もう、帰ろうか」

「俺はもう、帰る」

 

家にいても、

故郷へ帰っても、

家に「帰る」というのです。

 

私は

夫・父親が帰りたいのは

認知症になる前の自分がいる家

じゃないかと思いました。

 

皆さんはいかがでしょうはてなマーク

 

最後に、

夫・父親が孫に言った言葉をご紹介します。

 

「このごろね、いろんなことが遠いんだよ

いろんなことがね、あんたたちやなんかもさ」

 

これって、認知症になって

自分が自分でなくなっていくことの

不安・悲しさを表現しているのだと

私は思いました。

 

認知症の世界に触れてみたい方に

オススメします。

 

ちょっと気分が沈むので

元気な時に読んでください。

でないと

落ち込んじゃうかも。

 

では、今日もごきげんな一日を過ごしましょうウインク