【予告編:1分36秒】
【あらすじ:Cinemarcheよりの引用(→☆)】
東大法学部卒業後、両親と共に実家に暮らし、うだつの上がらぬ生活を送っていた主人公・鍋岡和彦(皆川暢二)。ある夜たまたま訪れた近所の銭湯、“松の湯”で高校の同級生・副島百合(吉田芽吹)と再会します。
彼女にその銭湯でアルバイトする事を勧められた和彦。“松の湯”の主人・東(羽田真)の面接を受けた彼は、全く正反対の性格の男・松本晃(磯崎義知)と共に採用され、働き始めます。
“松の湯”でのんびりと働くことを望んでいた和彦。共に働き始めた松本もイイ奴だと知り、それなりに充実した日々を過ごし始めます。
ところがこの銭湯は閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していたのです。その事実を知ってしまい、“松の湯”の主人・東から、死体の始末を手伝うように迫られる和彦。
こうして“松の湯”の、裏の仕事を手伝う事になった和彦。この仕事に関わった事で、彼の平凡な生活を大きく変わっていきます。
やがて同僚の松本が、実は殺し屋であることが明らかになります。そして和彦は、更に危険な世界へと巻き込まれていくのですが…。
【感想】
今、第二の「カメラを止めるな!(2017)」(残念ながら私は見逃している)だと巷で話題の、新「映像制作ユニット One Goose(詳細下記「スタッフ・キャスト欄」ご参照)」による、サスペンス コメディ。製作費は約300万円の由。
いやあ、これは面白い。ブラック ユーモアとペーソス漂う不思議な雰囲気。どこに着地するか、先の読めない展開は良く練られた脚本の賜物だろう。
殆ど無名な俳優陣の演技も素晴らしい。東大出のニート鍋岡和彦を演じている皆川暢二(プロデューサーも兼務)の望洋とした雰囲気。でも、実物の写真を見ると、背も高くなかなかのイケメン。殺し屋松本役の磯崎義和(タクティカル・アーツ・ディレクター兼務)も金髪のチャラ男と思いきや、実は男気のあるいい奴を熱演。この人の実物もカッコいい。
【写真左:プロデューサー兼 鍋岡和彦役の皆川暢二、写真中央:監督/脚本/編集の田中征爾、写真右:タクティカル・アーツ・ディレクター兼 松本晃役の磯崎義和】
和彦の恋人副島百合役の吉田芽吹も可愛いし、銭湯の主人の東(羽田真)は、一見良い人そうだが実は裏で恐ろしいことを考えていそうな雰囲気が良く出ている。
そんな個性的鍋岡登場人物名の中で、ヤクザの田中(矢田政伸)がひとりだけで、徒党を組んでいないのはおかしいとの指摘をネット上で見たが、その指摘は当たってはいるが、300万円の予算では、沢山のヤクザさんは登場させるのは無理(笑)
主舞台の銭湯、主人公 鍋岡和彦の家、恋人 副島百合のアパート、同窓会会場のレストラン、恋人ヤクザの田中の家といった限られたリアルな場所しか、この映画には写し出されないが、あらすじを読めば判るとおり、この映画のストーリーはファンタジーみたいなもので、悪役でステレオタイプに描かれているのは、田中のみ。後の登場人物で根っからの悪人はいないので、田中の映画での役割は判ろうというもの。他のヤクザはいなくても良いのだ。
最後に、この映画、和彦が父(山下ケイジ)と母(新海ひろ子)と3人で食事を取るシーンが頻繁に登場するが、これも良い味を出していると同時に、映画のラストでは重要な意味を持って来る。特にお母ちゃん大活躍!(笑)
この映画も「カメラを止めるな!」同様口コミで評判が広がっており、全国各地でまだまだ上映される模様。あなたも映画館に足をお運びになられては如何だろうか? 映画公式HP上映館へのリンクはこちらから(→☆)。
2019年日本公開映画「私のオススメ作品」にまたひと作品加わった。何か観る映画、観る映画、誉めてばかりだなと思われるかもしれないが、一応事前にそこそこの情報を入手して、面白いだろうと思われる映画を選んで観ているので。:
「ファースト・マン」「運び屋」「グリーンブック」「ブラック・クランズマン」「バイス」「ビリーブ 未来への大逆転」「コレット」「家族にサルーテ! イスキア島は大騒動」「凪待ち」「誰もがそれを知っている」「さらば愛しきアウトロー」「アルキメデスの大戦」「世界の涯ての鼓動」「ピータールー マンチェスターの悲劇」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「ガーンジー島の読書会の秘密」「ロケットマン」「火口のふたり」「メランコリック」(鑑賞順)
【スタッフ・キャスト等】
監督/脚本/編集:田中征爾
プロデューサー:皆川暢二
タクティカル・アーツ・ディレクター:磯崎義和
(以上3名で映像制作ユニット:One Goose)
キャスト:
鍋岡和彦(皆川暢二)
松本晃(磯崎義和)
副島百合(吉田芽吹)
東(羽田真)
田中(矢田政伸)
小寺(浜谷康幸)
アンジェラ(ステファニー・アリエン)
田村(大久保裕太)
鍋岡修一(山下ケイジ)
鍋岡恵子(新海ひろ子)
関根(蒲池貴範)
上映時間:1時間54分
日本公開:2019年8月3日
鑑賞日:2019年9月15日
場所:アップリンク吉祥寺
No.10190 Day 3731