【日本語字幕付予告編:2分32秒】
【イントロダクション:映画公式HP(→☆)よりの引用】
【Cinemarcheによる詳細ストーリー(結末までの記述あり):(→☆)】
【感想】
「ボヘミアン・ラプソディ」に継ぐ、ロック スターもの。しかも監督は、「ボヘミアンー」と同じデクスター・フレッチャー。「ボヘミアンー」で監督としてクレジットされているのは、ブライアン・シンガーだが、実はシンガーは途中で解雇されており、作品を引き継ぎ、最終的に仕上げたのは、デクスター・フレッチャーなのだ。
しかし、両作品のアプローチは全然違うし、何よりも「ロケットマン」はミュージカル仕立てである。仕立てと言うのは、全編ミュージカルという感じではなく、ミュージカル シーンは少なめというのが私の印象だから。
「ボヘミアンー」で、フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックの憑依ぶりも凄かったが、この「ロケットマン」でエルトン・ジョンを演じるタロン・エガートンとの成りきりぶりも凄い。タロン・エガートンは実は結構ハンサムなのだが、髪も薄くしたりしてエルトンに成りきっていて、しかもこの役者は元々ミュージカル志望だったらしく歌が上手で、映画の歌唱シーンでは、吹き替えを使わず本人がすべて歌っているというから驚きだ。ミラクルひかるも顔負けである(笑)
私は当時の英国のロック業界に詳しくなくて、「ボヘミアンー」とこの映画を観て初めて知ったのだが、クィーンもエルトン・ジョンも絶頂期にマネージャーを勤めていたのは、ジョン・リード(リチャード・マッデン)という同じ人物だったこと。しかも、驚いたのは、ジョン・リードはゲイで、エルトン・ジョンと恋人関係にあったことだ。ちなみに、クィーンのフレディ・マーキュリーも皆さん良くご存知のとおり、ゲイだったが、ジョン・リードとはそういう関係ではなかった。
しかし、この二人の例を見ただけで、ミュージック アーティストを一律に語ってはいけないが、二つの映画の主人公の最大の心の悩みは、同性愛者であったことと、幼少から少年期に親の愛と理解を充分得られなかったことなのは偶然の一致にしては出来過ぎていないだろうか。
ここ数年のグローバルな動きとして、同性愛者に対する差別や偏見はだいぶ軽減されたとは言えまだまだ残っている。それが「ボヘミアンー」や本作品の舞台の70・80年代だったら況んやおやだ。
同性愛者への偏見が社会的問題だとすれば、一方親の愛情不足は、極めて個人的家族的問題であり、より値が深いかもしれない。
この二者のせいで、エルトンもフレディも音楽的才能に恵まれたというのは短絡的過ぎて乱暴だが、因子のひとつ二つではあるかもしれない。
この映画を観て初めて知ったもうひとつのことは、「Your Song」を始めとするエルトンの名曲の多くが、エルトンの親友であり、作詞家として長年のパートナーであるバーニー・トービン(ジェイミー・ベル)によって作詞されているということだ。
バーニーはゲイではないので、二人は恋人同士になることは無かったが、二人の関係は今でも続いており(出会いから50年以上!)、喧嘩したことは一度も無いのだという。映画の中では、エルトンが一方的にバーニーを突き放すシーンが二度くらいあったが。でも、やっぱり恋愛より、友情だね!(笑)
2019年日本公開映画「私のオススメ作品」:「ファースト・マン」「運び屋」「グリーンブック」「ブラック・クランズマン」「バイス」「ビリーブ 未来への大逆転」「コレット」「家族にサルーテ! イスキア島は大騒動」「凪待ち」「誰もがそれを知っている」「さらば愛しきアウトロー」「アルキメデスの大戦」「世界の涯ての鼓動」「ピータールー マンチェスターの悲劇」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「ガーンジー島の読書会の秘密」「ロケットマン」(鑑賞順)
【スタッフ・キャスト等】
監督:デクスター・フレッチャー
脚本:リー・ホール
撮影:ジョージ・リッチモンド
美術:マーカス・ローランド
衣装:ジュリアン・デイ
音楽:マシュー・マージソン
キャスト:
エルトン・ジョン(タロン・エガートン)
バーニー・トービン「作詞歌 エルトンの音楽パートナー」(ジェイミー・ベル)
シーラ・アイリーン「エルトンの母」(ブライス・ダラス・ハワード)
ジョン・リード「エルトンのマネージャー」(リチャード・マッデン)
上映時間:2時間01分
英国公開:2019年5月24日
米国公開:2019年5月31日
日本公開:2019年8月23日
鑑賞日:2019年9月5日
場所:TOHOシネマズ日比谷