【日本語字幕付予告編:1分09秒】
【感想】
ヴィヴィアン・リー演じる主人公、南北戦争の混乱の時代に生きた米国南部の裕福な農園主の令嬢スカーレット・オハラの半生を描く、上映時間が4時間近い超大作。レストランでフルコース ディナーを戴いた様な満腹感である。
スカーレット・オハラは、勝ち気で気性が激しい女性。映画で観たり、小説で読む分には、ハラハラされられたり、喜んだり泣いたり怒ったりで、大変面白いのだが、自分の恋人や妻には決してしたくないタイプだ(笑)
そんなスカーレットをよりによって愛してしまうのが、南部の名家出身だが、人生を斜に構え、奔放且つ無頼的に生き、南北戦争後のどさくさに公金を横領して巨万の富を得る海賊的紳士、クラーク・ゲーブル演じるレット・バトラー。
もう、この二人の人物造形だけでも充分面白いのだが、その他にも、スカーレットが愛する名家の美青年、理想主義者だが優柔不断なアシュリー(レスリー・ハワード)、そのアシュリーと結婚する、アシュリーの従妹で純真無垢で健気で包容力のあるメラニー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)等々、登場人物の描き込みが素晴らしい。
まあこれらはマーガレット・ミッチェルによる同題の原作小説(1936)が優れているのかもしれないのだが、残念ながら原作は未読である。いずれにしても、映画でもそれら人物が良く描かれている上に、波乱万丈の大河ロマンであるから、これが面白くない訳がない。
この映画の色彩も素晴らしい。特に赤というか、夕焼けや火災のオレンジがかった赤。スカーレットの燃える様な激しさの色でもあるのだろう。
この先カラー映画が一般的になるには、まだ数十年の歳月が必要だと思うのだが、1939年、太平洋戦争開戦前にこんな映画を創っていた米国のパワーには驚かされる。
ただひとつ、この映画が批判されるべきは、あまりにも南部の貴族的社会を美化していて、被支配者たるアフリカ系アメリカ人の実態に目をつむっていることだろう。
【スタッフ・キャスト等】
製作:デヴィッド・O・セルズニック
監督:ヴィクター・フレミング
脚本:シドニー・ハワード
原作:マーガレット・ミッチェルの同題小説(1936)
撮影:アーネスト・ホーラー、レイ・レナハン
美術:ライル・ウィーラー
音楽:マックス・スタイナー
第12回アカデミー賞:作品賞、監督賞、主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)、助演女優賞(ハティ・マクダニエル)、脚色賞、撮影賞、美術賞、編集賞、特別賞(劇的な色彩の使用に対して)
キャスト:
スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)
レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)
アシュリー・ウィルクス(レスリー・ハワード)
メラニー・ハミルトン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)
ジェラルド・オハラ(トーマス・ミッチェル)
エレン・オハラ(バーバラ・オニール)
マミー(ハティ・マクダニエル)
スエレン・オハラ(イヴリン・キース)
キャリーン・オハラ(アン・ラザフォード)
ミード医師(ハリー・ダベンポート)
上映時間:3時間58分(含む休憩時間15分)
米国公開:1939年12月15日
日本公開:1952年9月4日
鑑賞日:2019年5月23日
場所:TOHOシネマズ新宿
【あらすじ(結末までの記述あり):(→☆)】
【午前十時の映画祭事務局オフタイム:11分40秒】
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