【あらすじ(結末までの記述あり):Cinemarcheよりの引用(→☆】
車椅子に乗り、軍服を着た若いアフリカ系アメリカ人のアダム・グリーン(ルーク・テニー)は、ホワイトハウスでの議会委員会の前で証言するために聴聞会に出席していました。
彼は最初、用意した書面を読み上げていましたが、途中で自分の言葉で語っても?と尋ね、自分が数字に得意であることを話し始めました。
彼の示す数字はイラク戦争に関わることでした。彼は両親の反対を押し切り愛国心から軍隊に入隊したのですが、戦地を走行中に、爆撃を受け、命は取りとめたものの脊髄を損傷。下半身麻痺となって車椅子での生活を余儀なくされたのです。
彼は問いかけます。「なぜ戦争を始めたのですか?」と。
2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生。ジョージ・W・ブッシュ大統領は国連総会での演説でテロとの戦いを宣言します。
イスラム系テロ組織アルカイダによる犯行と見られ、オサマ・ビンラディンが首謀者とみなされました。
新聞社ナイト・リッダー社のワシントン支局では、アメリカ政府が、ビンラディンを匿っているアフガニスタンだけでなく、イラクを視野に入れているという情報を得ます。
支局長のジョン・ウォルコット(ロブ・ライナー)は、部下のジョナサン・ランデー(ウディ・ハレルソン)、ウオーレンス・ストロベル(ジェームズ・マースデン)に取材を指示。
中東問題や安全保障の専門家から、フセインとアルカイダをつなぐ証拠は何もないのに、政府がイラクと戦争をしようとしていると聞かされます。アメリカ政府の本当の狙いはアフガニスタンではなくイラクであると。
ラムズフェルド国防長官は1997年からフセインをお払い箱にしたがっていたという情報までありました。
元CIA長官のウールジー国防副長官は、テロとイラクの関連を捜査させていました。記者たちは「調査というよりイラクを黒幕にしたいのかも」と考えます。
アメリカでは愛国心の波が広がり、政府はアフガニスタンに侵攻。空爆を続けますが、ビンラディンを捕らえることはできません。
ビンラディンは逃走したままでしたが、ブッシュ大統領は、2002年1月29日、一般教書演説で、アフガニスタンのテロリスト訓練キャンプを破壊し、国民を飢えから救い、圧制から解放したと述べます。
アメリカ政府はテロとの戦いを続けていくと宣言し、イラクをテロ支援国だと非難しました。
ウォルコットはジョナサンとウオーレンスに「政府の嘘をあばけ」と命じます。そんな中、ペンタゴンの関係者の女性が、名前は伏せることを条件に、ペンタゴン内で行われていることを内部告発してきました。
軍務経験のない人々が偽の情報をもとに戦争を準備しているというのです。彼らは中東関係の専門家の助言や情報に耳をかさず、自分たちにとって都合のよい情報だけを集めていると彼女は語りました。
イラクが大量破壊兵器を所持しているといいますが、その証拠は何一つとしてないのです。
戦争を始めるための正当化が行われている段階と記者たちは考え、フセインが倒れるとイラクは内戦状態になり、そのため、アメリカ軍も何年も戦地に留まらねばならなくなるだろうと、イラクに侵攻すると起こる可能性のあることを冷静に紙面に掲載します。
ナイト・リッダー社は、元従軍記者でジャーナリストのジョー・ギャロウェイ(トミー・リー・ジョーンズ)という頼もしい助っ人を得て、批判記事を掲載し続けます。
しかし、そのような論調はナイト・リッダー社だけでした。NYタイムズも政府の発表を載せているだけのプロパガンダに陥っているとウォルコットは激しく非難します。
ナイト・リッダー社は全国31紙を統合したメディアで、彼らが書いた記事が、それら31紙の新聞に掲載されます。
ウォルコットは「我々は大手メディアではないが、基地のある町に読者がいる。もし他のメディアが広報に成り下がったらまかしとけ。我々は我が子を戦争にやる者の味方だ」と部下たちの前で演説します。
取材をする中、ウオーレンスには匿名の脅しのメールが届き、また、ジョナサンの妻(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は家が盗聴されているのではないかと恐れます。彼女は旧ユーゴスラビアの紛争経験者でした。
大量破壊兵器の証拠が出たという記事が出ますが、調べていくと、政府高官の嘘が明らかになります。
しかし、政府がつかんだという情報はすぐにNYタイムズで発表され、大手メディアはフセインが核兵器を使用した場合の恐怖を煽り、愛国心に傾く世論は政府の思惑通りに傾いていくのでした。
唯一イラク侵攻に反対し続けたパウエル国務長官もテネットCIA長官に半ば騙された形で、情報は確実だと安保理で演説することとなります。
軍事力行使を認める決議の投票が行われ、賛成多数となります。戦争を止めることができなかった記者たちは「全て無駄だった」と肩を落とします。
2003年3月バグダッド爆撃が開始。6週間後にはブッシュ大統領が「大規模戦闘終結宣言」を出しますが、その直後、兵士のアダム・グリーンは爆撃を受け、負傷、半身不随となります。
大量破壊兵器は発見されず、戦争は長期化。のちにNYタイムズは読者に謝罪しています。
ナイト・リッダー社の記事こそ事実だったのです。
車椅子に乗ったアダム・グリーンは父母と共にワシントンのベトナム戦争没者慰霊碑を訪れていました。「ザ ウォール 」と呼ばれる慰霊碑に亡くなった兵士の名前が刻まれています。
アダムは慰霊碑に手を合わせている男性に声をかけます。「あなたもベトナムへ?」男性はジョー・ギャロウェイでした。
ギャロウェイが頷くと、アダムは「ありがとう」と礼を述べました。するとギャロウェイもアダムの方を向き、「ありがとう」と礼を言うのでした。