小津安二郎 「お茶漬けの味」 (1952) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?






【あらすじ:Wikipedia(→)及びMovie Walker(→)よりの引用】

妙子(木暮実千代)が、会社員の佐竹茂吉(佐分利信)とお見合い結婚してからもう7-8年になる。信州の田舎出身の茂吉の質素さが、上流階級の洗練された雰囲気で育った妙子には野暮にしか見えず、初めから生活態度や趣味の点でぴったりしないまま今日に至り、そうした生活の所在なさがそろそろ耐えられなくなっていた。

妙子は、学生時代の友人たちである雨宮アヤ(淡島千景)、黒田高子(上原葉子)、姪っ子の山内節子(津島恵子)らと茂吉に内緒で修善寺などへ出かけて遊ぶことで遊び歩いて憂さをはらしている。茂吉はそんな妻の気持ちを知りながらも、一向に無関心な顔をして、敢えてその事に触れ様とはしなかった。

ところが、節子がお見合いの席から逃げ出したことを妙子が叱った時、「無理に結婚させても自分たちのような夫婦がもう一組できるだけだ」と言った茂吉の言葉が、大いに妙子の心を傷つけた。妙子は茂吉と口をきかなくなり、あげくのはてに黙って神戸の友人のもとへ出かけてしまう。

一方の茂吉は、ウルグアイでの海外勤務が急遽決まり、妙子に「相談事あり、至急帰宅せよ」と電報を打つが、妙子は帰ってこない。羽田から茂吉が発った後、家に帰ってきた妙子にさすがの友人たちも厳しい態度を取る。

平然を装う妙子だったが、茂吉の不在という現実に内心は激しく動揺していた。そこへ突如茂吉が夜中になって帰って来る。飛行機のエンジン トラブルだという。

喜ぶ妙子に、茂吉は「お腹が透いたのでお茶漬けを食べたい」という。二人で台所に立って準備をし、お茶漬けを食べる二人。お互いに心のうちを吐露し、二人は和解する。

夫婦とはお茶漬なのだと妙子を諭す茂吉。この気安い、体裁を繕わない感じに、妙子は初めて夫のありがたさ、結婚生活の素晴らしさに気づく。一方、お見合いを断った節子は、茂吉の後輩の若い岡田登(鶴田浩二)にひかれていくのだった。




【感想】

小津安二郎(1903-1963)本人は、本作について、今一の出来だと言っていた様だが、どうしてどうして、なかなかコメディ タッチのところがあるし、登場人物も定型的だが、描き分けられていて、なかなか楽しめた。

1952年時点での各俳優の実年齢を調べてみると、佐分利信 43歳、木暮実千代 34歳
淡島千景 28歳、上原葉子 34歳、津島恵子 26歳、鶴田浩二 28歳、笠智衆 46歳であり、淡島千景を除いては、ほぼ役柄の人物と同年齢と見て良いだろう。

淡島千景演ずるアヤは妙子(木暮実千代)の同級生なので、役の上では34歳。彼女だけが、やや歳上の役を演じていることになるが、元々落ち着いてしっかりした感じなので違和感は全くない。

佐分利信が演ずる茂吉の信州出身の飾らない素朴な感じと、木暮実千代演ずる妙子のいかにも育ちが良くて、ちょっと気が強く高飛車な感じのやり取りが、古典落語の様に定型的だが、そこはかとなく可笑しい。

各登場人物の行動・台詞は、皆どこかクスクスっという感じなのだが、その合間合間に写し出される、茂吉と妙子の邸宅の内部のショットが洋風の部屋もありながら、やはりとても日本的で心地良い。

僅か戦後7年で公開された映画だが、家庭ではもっさり見える茂吉も、会社では機械部長という要職にあり、南米勤務を命じられるなど、急速に復興を遂げている日本が背景に感じられる。

野球は戦前から盛んであったが、パチンコ、ラーメン、トンカツ等々は、この頃一般人に普及し始めたのだなと、風俗の勉強になるところも面白い。

それでも、〆がそういう新しいものではなく、極めて日本的な「お茶漬け」なのが、話が出来過ぎの感が無くもないが、予定調和ということで、これは良しとしよう。

まだ大スターへの階段を駆け登る前の若き日の鶴田浩二の甘い二枚目ぶりも楽しめるし、小津映画常連の笠智衆が、茂吉(佐分利信)の戦友のパチンコ屋の親父(話のメインの流れとは直接関係なく、無くても良い役 笑)で登場するのもご愛敬で、嬉しくなってしまう。




【スタッフ、キャスト等】

監督:小津安二郎
脚本:野田高梧、小津安二郎
撮影:厚田雄春
キャスト:
佐竹茂吉(佐分利信)
佐竹妙子(木暮実千代)
雨宮アヤ(淡島千景)
黒田高子(上原葉子)
山内節子(津島恵子)
岡田登(鶴田浩二)
平山定郎(笠智衆)

上映時間:1時間55分
日本公開:1952年10月1日
鑑賞日:2018年6月29日
場所:角川シネマ新宿





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