ジャスティン・リン「スター・トレック BEYOND」 | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、旅行、モータースポーツ観戦、読書、映画·演劇·音楽·絵画鑑賞と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?






惑星連邦スター・フリートの宇宙船U.S.S.エンタープライズ号の5年に亘る深宇宙探査飛行も約3年が過ぎ、エンタープライズ号は辺境宙域の最新鋭巨大宇宙都市ヨークタウンに休暇の為寄港する。

しかし、そこでクルーを待ち受けていたのは、未知の異星人の救援要請。救助に赴いた惑星アルタミッドで、エンタープライズ号は突然未知の敵からの激しい攻撃を受け、惑星に墜落。クルーは命からがら脱出ポッドで逃げ出すも、惑星上でそれぞれ散り散りになってしまう。

エンタープライズ号を襲ったのは惑星アルタミッドを拠点にする謎の異星人クラール(イドリス・エルバ)たち。クラールの目当ては、エンタープライズ号のアーカイブに保管されていた古代の兵器アブロナス。またクラールはスター・フリートの情報に非常に精通しており、一方でスター・フリートに激しい憎悪を抱いているらしい。

カーク艦長(クリス・パイン)とチェコフ航法士(アントン・イェルチェン)は墜落したエンタープライズ号の機能を回復させて仲間たちをスキャンしようと試みる。

スポック副長(ザカリー・クイント)とマッコイ医療部長(カール・アーバン)は、スポックがウフーラ通信士(ゾーイ・サルダナ)に贈ったスポックの出身星ヴァルカンの放射性の石をスキャンして、ウフーラの行方を突き止める。

そのウフーラはスールー操縦士(ジョン・チョー)やエンタープライズ号の他の多くのクルーと同様に、クラールの基地に囚われの身となっており、何とかそこから脱出しようと試みていた。

スコット機関長(サイモン・ペッグ)は、3人組の異星人の盗賊に襲われかかったところを、アルミタッドにやはり漂着し、現在は住んでいる異星人女性ジェイラ(ソフィア・ブテラ)に助けられ、クラールの情報をジェイラから色々と得ていた。

果してクラールの真の目的は何か、エンタープライズ号のクルーたちは無事に再集結して、クラールと対峙出来るのか。団結など無意味だとウフーラやスールーを嘲笑うクラールと、個々人の能力を結束させて事にあたるカーク等エンタープライズ号のクルーたちとの対決の幕が切って起こされた。



昨日の記事にも書いた様に、学生の頃からスター・トレックのファンなのだが、スター・トレックがSFとして優れているかと言うと、ちょっと違うと思っている。

オリジナルのスター・トレックは米国が未だヴェトナム戦争を戦っていたに1966年に始まっており、スター・トレックは元々その時代の産物である。

惑星連邦のスター・フリートは一種の軍隊でありながら、宇宙に平和をもたらそうとする理想的組織として描かれている。設定はSFながら、その当時の米国の問題を描こうとしているのである。

もちろんスター・フリートの中でも色々な勢力があり、必ずしも平和を指向する人々だけではないのだが、少なくとも、U.S.S.エンタープライズ号のカーク艦長、スポック副長、マッコイ船医長、ウフーラ通信長、スコット機関長、スールー操縦長、チェコフ科学士官はそう描かれている。

そのオリジナルのスター・トレックから50年が経ち、時代も大きく変わったが、何作も作られたスター・トレックのTVドラマや映画は、未だにその理想主義的面を保ち続けているのだ。それは米国の持つ良い面と言い換えても良いかもしれない。

この、団結と理想が青いと言いたければ言え、甘いと言いたければ言え。今回の敵も、エンタープライズのクルーの団結と理想、仲間を思いやる友情を突いて、攻撃を仕掛けてくる。 

しかし、最後は無論エンタープライズ側、惑星連邦側が勝つ。脚本担当のスコット機関長を演じたサイモン・ペッグはスター・トレックの急所が良く判っているのだ。

エンタープライズ号のクルーたちの、時として掛け合い漫才的やり取りも(特にスポックとマッコイ間の)、トレッキーなら思わずニヤッとするところである。

考えてみるとJ・J・エイブラムスのリブート版スター・トレックの過去2作「スター・トレック」(2009年)「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年)、そしてこの第3作共、復讐の物語であるのは決して偶然ではあるまい。
復讐、そしてその復讐を終らせる団結と友情は、エイブラムスにとって、魅力的テーマの1つなのかもしれない。

映画のエンド・タイトルの最後の方に、「この映画をレナード・ニモイ(昨年2月に83歳で亡くなった、オリジナル・シリーズでヴァルカン星人のスポック副長を演じた俳優)とアントン(・イェルチン、本年6月に不幸な事故で27歳の若さで他界)に捧ぐ」と出るのにも、ぐっと心にこみ上げるものがあった。



製作:J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク、ロベルト・オーチー
製作・監督:ジャスティン・リン
脚本:サイモン・ペッグ、ダグ・ユング
原案・物語/キャラクター設定:ジーン・ロッデンベリー
キャスト:
(U.S.S.エンタープライズ号)
クリス・パイン:ジェームズ・T・カーク艦長
ザカリー・クイント:スポック副長
カール・アーバン:レナード・マッコイ医療部長(ボーンズ)
ゾーイ・サルダナ:ウフーラ・ゾーイ通信士
サイモン・ペッグ:モンゴメリー・スコット機関長(スコッティ)
ジョン・チョー:ヒカル・スールー操縦士
アントン・イェルチェン:パヴェル・チェコフ航法士
(惑星アルミタッド)
イドリス・エルバ:クラール
ソフィア・ブテラ:ジェイラ

上映時間:2時間02分
米国公開:2016年7月22日
日本公開:2016年10月21日
鑑賞日:2016年10月26日
場所:TOHOシネマズ新宿







No.7620    Day 2669