瀬々敬久「64 ロクヨン」前編 | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?


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昭和64年(1989年)1月5日に起きた、残虐な少女誘拐殺人事件。サトウと名乗る犯人は、見事に身代金2千万円を奪取して、平成に変わった時代の谷間に消えた。

平成14年(2002年)12月、かつて刑事として、その通称ロクヨンと呼ばれる誘拐殺人事件に関わった三上義信(佐藤浩市)は、その後人事異動で広報官となり、記者クラブの対応に苦労している。

とある轢き逃げ事件での加害者の匿名発表がきっかけとなり、記者クラブと広報室の関係はこじれにこじれてしまう。

そんな中、時効が後1年に迫ったロクヨン捜査員激励の為、警察庁長官が1週間後にD県警視察に訪れることとなった。

長官の被害者家族慰問の了解を取り付ける為、三上は14年ぶりに殺された少女の父親の雨宮芳男(永瀬正敏)を訪れる。

雨宮に長官慰問を固辞された三上は、記者クラブから轢き逃げ事件の匿名問題を理由に長官視察取材をボイコットされてしまう。

八方塞がりななった三上は、雨宮の頑なな態度の原因を探る為、かつてのロクヨン捜査員達の元を訪ねる。やがて三上はロクヨンにまつわる極秘の「幸田(吉岡秀隆)」メモの存在にぶち当たる。

それ程、事件の謎解きに重きを置いた作品ではないのだが、そうは言っても粗筋をあまり書くと、立体的な人間ドラマの組立をばらすことになるので、ストーリーの紹介はこの程度に留めよう。

何度か書いている様に、映画の主役は映像であるべきとは思っているが、同時にフィクションの場合、役者の演技と演技のぶつかり合いも、映画の重要な要素のひとつである。

このドラマは佐藤浩市演ずる三上義信 県警広報官を中心とする群像劇とも見ることが出来る。決定的悪人も登場しないし、決定的善人も登場しない。

そんな中で、たった6日間しかなかった昭和64年に起きて、未解決のままの少女誘拐殺人事件、通称ロクヨン。

この事件が、それぞれの人物が持つ、弱さや狡さや悲しみや憎しみを炙り出して行く。

この群像劇を楽しむというか、ハラハラしながら観客は見守る訳だが、県警という組織の中の軋轢、県警と中央官庁の警察庁との主導権争い、県警広報室との摩擦等、組織対組織の争い、その中でもがき苦しむ個人の描写は、元会社員としては大変身に摘まされるのだ。


監督・脚本:瀬々敬久
脚本:久松真一
キャスト:
D県警警務部秘書課広報室広報官(元刑事部ロクヨン追尾班)三上義信:佐藤浩市
雨宮漬物加工工場長 雨宮芳男:永瀬正敏
D県警刑事部捜査一課長 松岡勝俊(元ロクヨン追尾班):三浦友和
D県警警務部秘書課広報室係長 諏訪(三上義信の部下):綾野剛
D県警記者クラブ東洋新聞キャップ 秋川:瑛太
スーパー警備員(元D県警ロクヨン自宅班) 幸田一樹:吉岡秀隆
D県警警務部長 赤間(キャリア組):滝藤賢一
三上義信の妻(元D県警婦警) 三上美那子:夏川結衣
D県警秘書課広報室婦警 三雲:榮倉奈々
農業経営(元D県警刑事部ロクヨン追尾班) 望月:赤井英和
主婦(元D県警ロクヨン自宅班担当婦警) 村串みずき:鶴田真由
現・所轄署長(元ロクヨン自宅班班長) 漆原:菅田俊
D県警刑事部捜査一課(元ロクヨン自宅班):筒井道隆
自宅に14年間引き籠り(元ロクヨン自宅班・科捜研) 日吉浩一郎:窪田正孝
日吉雅恵(日吉浩一郎の母):烏丸せつこ
三上あゆみ(三上義信・美那子の娘・高校生、家出し行方不明):芳根京子
D県警警務部秘書課広報室主任 蔵前:金井勇太
D県警記者クラブ東洋新聞サブキャップ 手嶋:坂口健太郎
D県警警務部秘書課長(三上義信の直属の上司) 石井:菅原大吉
D県警刑事部長 荒木田:奥田瑛二
D県警本部長 辻内欣司:椎名桔平
D県警刑事部捜査一課次席 御倉:小澤征悦
D県警警務部警務課調査官 二渡真治:仲村トオル

上映時間:2時間01分
公開日:2016年5月7日
鑑賞日:2016年9月20日
場所:下高井戸シネマ




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