映画「男はつらいよ(フーテンの寅さん)」シリーズが大好きです。全部は観ていないですか、半分弱くらいは観ていると思います。
観たことのある方なら、お判りのとおり、寅さんは、独り身で、テキ屋商売をしながら旅から旅への暮らしで、まともな職業に付いていません。
しかし、さくら(異母妹)を代表とする寅屋(寅さんの叔父叔母夫婦の営むダンゴ屋)の面々、タコ社長含むと、同じ様に定職を持って真面目にコツコツ働き家族と暮らす平凡な日常を送る観客は、その自由な生き方に憧憬を感じます。
その寅さんが半年もしくは1年に1回(笑)、故郷東京葛飾柴又の寅屋に舞い戻りちょっとした騒動を巻き起こします。
寅さんは、自分がカタギの仕事に付いていず、皆の邪魔をしてはいけないことは重々承知していますが、そこは血の繋がった妹や叔父さん叔母さんのところ、望郷の念に駆られてふらっと帰って来る訳です。
騒動と言うのは、大体ふとしたことで、妙齢の美しい女性に恋をして、色々ありますが、結局ふられて(何回かは自分から身を引いて)、また旅から旅への稼業に戻っていくというパターンです。
しかし、寅さんは言わば我々を映す鏡みたいなもので、監督・脚本の山田洋次氏の代弁者でもあり、フーテンでありながら、その台詞は時としてヘタな人生論をしのぐ含蓄に充ちています。
この本は、寅さん映画の中の珠玉の台詞を、著者が丹念に脚本から拾い1冊に纏めたもの。
寅さんファン、そして幸せとは何かに悩んでいる方にお勧めの1冊です。