クリストファー・ノーラン「インターステラー」 | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?

この映画について何か語る為には、どうしても物語の核心に触れざるを得ないので、この映画を観る予定がおありの方は、映画をご覧戴いてから、この記事をお読み戴く様、強くお薦め致します。



スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」(1968年公開) 以来と言っても過言ではない骨太のハードSF映画。ワームホールやブラックホール、相対性理論や時間、空間、重力、多次元等々最新の物理学理論にがっぷり四つに組んでいる。製作総指揮に名を連ねるキップ・ソーンは現役の理論物理学者。
製作のリンダ・オプストはカール・セーガン原作、ロバート・ゼメキス監督、ジョディ・フォスター主演のハードSF映画「コンタクト」の製作に携わった人物だ。

また、Wikipediaによれば、クリストファー・ノーラン監督は、この映画の製作時点で、相当「2001年宇宙の旅」を意識していたらしい。映画に登場する人口知能ロボットTARSとCASE(人類に反乱は起こさないが)や、ワームホールを抜けて、他の銀河系に行き、地球に帰還するというストーリーは「スペース・オデッセイ(「2001年宇宙の旅」の原題)」そのものと言える。

予告編では見たときは、異常気象により穀物が死に絶え、滅亡に向かいつつある地球のシークエンスにかなりの時間が費やされているのかと思ったが、それは意外に短い。

父クーパー(マシュー・マコノヒー)と娘マーフィー(マッケンジィ・フォイ~ジェシカ・チャスティン~~エレン・バーステイン)の物語はこの映画の重要な核だ。映画は父の冒険物語の様だが、実はそれに横糸の様に絡まる娘の物語でもある。



ワームホールを超えた別の銀河系に、人類の移住可能な惑星を探すべく、旅立った、クーパーを含む、4名のクルーを乗せた宇宙船エンデュランス号。



しかし、先発隊が発見した2つの惑星の内、1つは海面に覆われた惑星、もう1つは氷とアンモニアを含む大気を持った惑星であり、人類の生存には適していなかった。



氷の惑星を発見した先発隊のマン博士(演じているのはアメリカで人気絶大のマット・デイモン)の裏切りや、このプロジェクトの推進者で、クーパーと一緒に探索旅行に出掛けるアメリア・ブランド博士(アン・ハサウェイ)の父であるブランド教授(性格俳優、マイケル・ケイン)の大いなる嘘。



移住可能な星も見つからず、地球に残った人々を救えるのは、成長して物理学者となり、NASAに勤務するクーパーの娘マーフィーだ。



ブラックホールの事象の地平線で、クーパーが、自分を最後はアメリアの乗った宇宙船から切り離し、彼女をもう1つの移住可能かもしれない、彼女の恋人であるエドマンズ博士の発見した惑星に送り出す。自分の命を捨てる覚悟で、引換えに得たブラックホールの貴重なデータ。



5次元空間の囚われ人となったクーパーが、そのデータを、かつて地球を離れるときに、娘に餞別として送った腕時計を介してマーフィーに伝える。



娘は、それを元にやがて土星軌道上に、重力をコントロールした巨大な円筒型の宇宙ステーションを建造。地球を逃れた人々はその円筒の内側に暮らし、人類は滅亡を免れたのだ。

そして土星軌道を漂流しているところを奇跡的に救われたクーパーは、相対論効果で自分は数歳しか歳を取っていないのに、おそらく100歳を超え、人類を救い、孫たちに囲まれ、最期のときを待つ娘に再会。

娘に別れを告げたクーパーは、ひとりエドマンズ博士の星に取り残されているアメリア・ブランド博士を助けるべく、再びワームホールの中に入って行く。

このハードSFにリアリティをもたらしているのは、映画冒頭のクーパー一家の日常の描写。クーパーとマーフィーの父と娘、アメリアとブランド教授という父と娘が重層的に描かれるドラマの構造。ハードSFの前提となる人間のドラマが、細かくリアルに描かれているところも私の好み。

また、この映画は「2001年宇宙の旅」の様に、その解釈や科学的考証の正確さについて、人と議論を交わしたくなる映画だ。事実、特に英語圏のネットでは「インターステラー」の謎解きや、科学的考証についての記事が多数見られる。

あまりに記事が長くなったので、まだ感想らしい感想が書けていないが、本稿は一端終了としたい。

監督:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーラン[クリストファー・ノーランの弟] / クリストファー・ノーラン
製作:リンダ・オプスト,エマ・トーマス[クリストファー・ノーランの妻],クリストファー・ノーラン
製作総指揮:キップ・ソーン[理論物理学者],他

キャスト:クーパー(マシュー・マコノヒー),マーフィー[クーパーの娘](ジェシカ・チャスティン,幼少期 マッケンジィ・フォイ,老年期 エレナ・バースティン),トム[クーパーの息子,マーフィーの兄](ケイシー・アフレック,幼少期 ティモシー・シャラメ),ドナルド[クーパーの父] ジョン・リスゴー),アメリア・ブランド博士(アン・ハサウェイ),ブランド教授[アメリアの父](マイケル・ケイン),マン博士(マット・デイモン)
配給:パラマウント / ワーナー・ブラザース

公開:2014年11月
上映時間:2時間49分
鑑賞日:2014年12月12日
場所:ユナイテッド・シネマ豊島園IMAXシアター