何故暗い!
光の世界もまた黒に染まっているというのか!?
そんな馬鹿な!?
ではあの光はなんだったというのだ?
私は魂の中に入ったはず!
なのに身動きがとれぬ。
そうか、まだ私の魂が馴染んでないのかも知れなぬ。ならしばし、馴染むまでの間眠るとしようか
それから少しの時がすぎ魂が馴染んだ時だった
ゴボッ
ゴボゴボッ
苦しい!
苦しい!苦しい!苦しい!
何故こんなにも苦しいのだ!?
魂はしっかり馴染んだはず!
なのに何故!?
どうなっているのだ!
ここは嫌だ!
しばし苦しんでいるとだんだん明るくなってきた。
「出たぞ!女の子だ!」
「黒よ!?なんで」
「泣かない!こうなったら」
パシンパシンッと音を立てると、とてつもなく痛みがはしる。
痛い痛い!
「んぎゃぁー、んぎゃぁー」
たくさんの何かが目から出たのを感じた。
「初めての子だ、抱いておやり」
「ありがとうごさいます、アガツマ様」
すると女は、スッと闇王を抱きしめ頬をすり寄せた。そして涙をするりと流すのだった
「ありがとう、私のところに来てくれて」
バサっわらでできた扉から男の顔が覗かせた
「生まれたか!」
ドタドタと足音を立て、飛び込んできた
「やったなぁ!アニシナ!ようやくだ!ようやく!
生まれないはずの子が俺たちの前に来てくれたんだ!たとえ無魔の子だって俺たちの子に違いない」
男はアニシナと闇王をぎゅーっと抱きしめた。
「ムスファ、痛いわ。この子だって苦しいつ言ってるわ」
「すまない、つい嬉しくって」
「黒髪、黒目は不吉よ、いいの?」
「生まれないとアガツマ様に予言されたのよ。ハナ、それでも私たちの元に来てくれたんだもの。大事な私たちの子よ」
「アニシナがいいならいいのよ」
「ムスファ、この子に名前を付けてあげて」
「そうだなぁ。俺たちに幸せを運んできてくれた。
幸せの意味を込めて、サーシャとつけようと」
「サーシャ、いい名前ね。今日からあなたはサーシャよ。よろしくね」
そう言うと、アニシナは闇王のおでこにそっとキスをした。
何をするくすぐったい
「セフィーロ!入ってきて」
「何ママ?」
「セフィーロ、アニシナの子よ。これから困難が待ち受けているわ、助けてあげね」
セフィーロは少し黙って、そして口を開く。
「黒目黒髪」
「セフィーロ!」
「目つきが悪い」
と、ボソッと言った
「セフィーロ!」
「ごめん、ママ。わかったよ、俺が他の奴らから守ってやるからな」
このでかい奴がアニシナ、ムスファ、ハナ、セフィーロ。理解した。
こうして人間になった闇王の生活は始まった
次の日
闇王は腕を上げた。
これが私の今か、
体が思うように動けん!何故だ
もしかしてものすごく私はか弱いのではないか!?
闇の世界で恐れられていた私が何故だ!
闇王はジタバタした。
とにかく身動きとれなければダメだ
闇王はもっとジタバタした。
「サーシャ!遊びに」
とセフィーロはわらでできた扉を開くと、言葉に詰まり驚いた!
「おじさん!おばさん!」
慌ててセフィーロは、早く来てと、アニシナとムスファを呼びに行く。
闇王は部屋中をすごい速度で転がっていた
これはダメだ視界がクルクル回る
その時ほんのわずかだが闇王は不快感を感じた
「すごいぞ!」
「すごいわ!」
ムスファは優しく闇王を抱きしめキスをした。
なんだ顔を近づけるな気色わるい!
「あーあー」
闇王は嫌がって、ムファサの顔を抑える
「もしかしたらうちの子は、アルミス様のお使い様かも知れんぞ」
「ムスファったら」
「だって、昨日生まれたばかりなのに、転がってみせたり、力だって強い」
「だからってお使い様かは」
「生まれないはずの子が生まれたのだぞ!アルミス様は1000年以上生きてらっしゃる賢者様だ!あのお方にお仕えするために、生まれてきてくれたのかも知れないぞ!」
「そんなことあるはずないわ。きっと偶然よ」
アルミス?1000年?賢者?なんだそれは!?
聞いたことのない単語ばかり出てきたぞ!
とにかく今は、この状態をなんとかせねば。
あの者たちみたいに動けるようにならねばならぬ。
立つにはどうしたらいい?
この時だった、さっきの不快感が強まってきたのだ
なんだこのとてつもなく嫌な感覚は!?
回ったせいではなかったのか!?
「んぎゃー、んぎゃー」
この不快感もそうだが、目から流れるものはなんなんだ!?
溢れてきて止まらん
この不快感はもうたまらん!
なんとかならんのか!?
「あら、お腹が空いたのね」
するとアニシナは乳房を出し、闇王の口に無理やりっこんだ。
何をするやめろ!
闇王は嫌がって、手足をばたつかせ暴れた
「ごめんね。お願いだから飲んで」
母乳が口の中に溢れてくる。闇王はゲホゲホ母乳を嫌がり吐き出した。でも母乳はひっきりなしに出てくることに耐えきれず一口飲んでしまう。
すると闇王の中で衝撃が走った。この感覚は二度と忘れないだろう。
なんだこれは!何なんだ!
何とも言えない感覚に困惑するもの、高揚感の方が強かった。
ゴクゴクと勢いよく飲み始めるのであった
「よかった」
そしていつしか、さっきまであった不快感も消えていた。
次の日、
闇王は気づいた。
不快感が起こると、不快感がお手ずれると母乳が与えられ、衝撃が走る。
言葉にはできないが闇王にとって、非常にいい感覚だった。
だが何でも襲ってくる不快感に嫌気がさしていた。
あれを飲むと嫌な感じがなくなるのはいいが、一体これは何なのだ?
それより今は立つことに専念せねば。
闇王はあることを思い出す。それはとても嫌な記憶で、それは6本足で、前方に牙と触角を持った気色わるい奴のことだ。
アイツはうつ伏せで動いていたな。
闇王はうつ伏せになると足と腕に力を込めた。
すると体が持ち上がる。
そして前後ろと手足を動かした。
闇王はハイハイを覚えた。
これでは手が使えぬ!
何かな足りぬぞ!
なんだんだ!?
そうか支えが必要か。なにかないのか?
闇王は何がないか探した。
「サーシャ!遊びに」
と、セフィーロは言い終わる前に、今見た光景に驚く。
「おじさん!おばさん早くきてー!」
どうしたのと慌てて戻ってくるとアニシナはは絶句した。
闇王は家中をハイハイし回っていた。
何もないぞ!
支えられる場所がないではないか!
「まだ生まれたばかりよ。こんなことって」
「すごいぞ!やっぱりアルミス様のお使い様に違いない!ならば立てるかも知れないぞ」
「そんなことがあるはずない」
成長が早すぎだと、アニシナは震えていた。だけど
ムスファが言うようにもしかしてと、小さな思いがよぎる。
ムスファが両手を闇王に差し出すと、
ムスファやるではないか褒めてやるぞ!
闇王はムスファの両手を掴み、足に思いっきり力を入れた
「立ったぞ!立った!」
えらいぞと、ムスファは闇王を抱えぐるーんと一周
させた、そしてほおずりをした。
なにをするうっとおしい!
さっきは褒めてやったがなかったことにするぞ!
闇王は嫌がりほおずりをするムスファの顔をペシペシと何度も叩いた。
「やっぱりうちの子は、アルミス様のお使い様になるべく生まれたんだ!」
「そうかもしれないわね」
アニシナは目の前で起こってることを受け止めた
明日にはどんなことが起こるのかドキドキしながら次の日を迎えるのだった。

