MITのダン・アリエリー教授の研究チームも、巧妙なオークションの実験を行なっている。オークションの出品アイテムはワイヤレスのキーボード、箱入りの高級チョコレート、無名のフランスワインである。被験者には、オークション前に各自の社会保障番号の下2桁を書いてもらい、「その数字分のドルを支払うかどうか」考えてもらった。たとえば社会保障番号が440-84-8398であれば最初に考える金額が98ドル、232-203911であれば11ドルになる。
オークションは最高入札者が購入できる通常のシステムだが、それらの金額が入札額に強い影響を与えていた。結果を見ると、下2桁の金額が大きい被験者の入札額は、小さい被験者のよりも約50%高くなっていた。
いろいろな会議や講演会で同じ実験を行うと、心理効果を利用した価格設定をテーマに話しているので実験の意図がわかっているはずなのに、同様の結果になる。心理的な影響が強すぎて、避けようとしてもできないのだ。 』
リー・コールドウェル
「価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?」

でたらめな数字にいかに人が影響されるかという話です…
実験でははじめに提示された数字が…
被験者にとってアンカー(船の錨(いかり))の役割をしており…
その数字を基準点にしてあとの数字を推測した、と考えられます…
船が錨を下ろすとその地点から遠くまで流されないのと同じように…
人もアンカーを設定してしまうとその基準値から離れることが難しくなる…
上記の引用にもあるように実際にアンカリングの影響は強力でその影響から逃れることはなかなかできないようです…
アンカリングの例として、コンサルティングビジネスの料金例が載っていました…
缶ジュースや缶コーヒーと違ってコンサルティング料も素人には相場がわかりにくい…
ゆえにはじめに提示された金額が重要になります…
たとえば高価格から低価格まで、A、B、Cと3つの見積りを作成しておいて…
料金はそれぞれ15:5:3くらいにする…
極上のAプランをはるかに高額に設定しておくことでB、Cプランをリーズナブルにみせる…
同時に極上のサービスを希望するお客さんにも対応できる…
というわけです…
実際にはB、Cプランがそれぞれ最高価格・最低価格…
ただしAプランは価格に見合った質の高い内容にしなければなりません…
いろいろ応用できそう( ̄▽+ ̄*)
そういえば…
婚約指輪は給料の3ヶ月分なんていまや過去の話になっているようですが…
これってそもそも誰がつくった基準なんでしょうか?
女性か?男性か?
男性がつくった相場じゃないのは間違いなさそうですが…
さっそくいつものWikipediaで調べてみるとこんなことが書かれていました…
「 婚約時に交換される指輪は婚約指輪と呼ばれ、男女とも左手の薬指につける。男性の払う着手金のような意味合いがあり、ダイヤモンドのような高価な宝石の指輪にすることが多い。
この時「男性の月給三ヶ月分」などと言われることもあるが、この月給三ヶ月分という数字そのものには全く根拠がなく、もともと1950年代に米国でデ・ビアス社(宝石会社)が宝石(ダイヤモンド)を販売することを目的として "Diamond is forever" (ダイヤモンドは永遠の輝き)というキャッチフレーズとともに「婚約指輪は給料の2ヶ月分」という宣伝キャンペーンを行って大成功し、それがそのまま日本に渡って1970年代頃から日本においても同「ダイヤモンドは」のキャッチフレーズとともに「婚約指輪は給料の3ヶ月分」として定着した。
よってこの金額にしないといけない、という具体的な根拠はない。ゆえに(上記の広告キャンペーンが行われていなかった)日本や米国以外の国々でこのような高価な金額の婚約指輪を日常一般的に贈ることは稀である。さらに景気の影響もあり日本では婚約指輪そのものを交わさないという婚約も一般的になってきている。」
(Wikipedia 婚約より)
日本に入ってくるときに…
ちゃっかり月給2ヶ月分から3ヶ月分に増額されてるのがおもしろいですね…
当時は景気が良かったのか…物価上昇の影響だったんでしょうか…
おかげさまで婚約指輪は高級というイメージが定着したわけですが…
その出元が宝石会社がダイヤモンドを売るためのキャンペーンだったとは…
商売上手( ̄□ ̄;)
この相場が長い間、アンカーとして機能し、宝石会社に利益をもたらしたのも間違いないでしょう…
現在ではもっと婚約指輪の相場はもっと落ち着いてるようです(ネット調べ)
商品やサービスの値段…
これはおもしろいもので実際の価値よりもその値段の影響力のほうが大きい…
なんてことがあります…
ダイヤモンドの婚約指輪がセールで1万円そこそこでバナナみたいに叩き売られてたら…
なんとなく違和感を覚えます( ̄_ ̄ i)
もともと高級なイメージをもっているからです…
世の中には高くないと売れない商品やサービスもある…
デフレ傾向が長く続いていますが…
供給する側の人たちがどのように高額な商品を売り込んでいるのか…
高く売るためにどのような工夫をこらしているか…
ここが非常におもしろいし観察しがいがあるところでもあります…
リー・コールドウェル
価格リサーチの専門家。認知・行動経済学者。数学者。18歳で数学の学位を首席で取る。1994年、価格リサーチのコンサルタント会社Inonを設立。行動経済学と心理学をベースに最適な価格を解析する。価格コンサルティングに従事するかたわら、ビジネス解説者としてBBC Newsを含む多数のメディアに頻繁に出演する。
(参考)
「プライスレス 必ず得する行動経済学の法則」
ウィリアム・パウンドストーン (青土社)
最後まで読んでくださりありがとうございます( ̄▽+ ̄*)