このように直感は驚くほど正しい判断につながることが多いものの、だからと言って直感がつねに正しいと思い込むのはまちがっている。状況によっては熟考すべきであることは、やはり認めなければならない。
私は、「第一感」に基づく判断が有効なのは、時と場合によると答えた。そして、多くの調査が、人間の判断は瞬時であれ一カ月の熟考後であれ、誤っていることが多いとの結論に達していることも指摘した。直感に頼るべきでないケースとしては、ある出来事が起きるかどうかの確立に関する判断、自分自身の能力と競争相手の能力との比較、因果関係の立証などが挙げられる。 』
リチャード・P・ルメルト
「良い戦略、悪い戦略」
(日本経済新聞出版社)

「人生の重大事をどのように決断しますか?」という記事で…
心理学の実験結果をもとに直感で決めましょう…
と書きました…しかし…
はたして重大事をほんとに直感で決めてしまっていいのか?…
そんなときぶつかったのが今回の記事…
直感で決めてよいこと、わるいことがある…
著者が直感に頼るべきでないケースとしてあげているのが…
①ある出来事が起きるかどうかの確率に関する判断
②自分自身の能力と競争相手の能力との比較
③因果関係の立証
など…
①、②はわかりやすい…
③はちょっとわかりにくいですね…
因果関係というのは…
簡単にいうと「○○が原因で△△が起きた」というような関係…
要するに物事が起こった原因を探る際に判断ミスが発生しやすい…
「 人々が因果関係だと信じているものの中には、実は誤解・錯覚にすぎず、因果関係ではないものが多数含まれている。 因果性に関する誤謬のひとつに、同時に発生している2つの出来事のあいだに因果性を認めてしまう誤謬もある。アイスクリームの消費が増える時期と水死者が増える時期はおおむね一致するが、だからといって「人々がアイスクリームを食べたから、水死者が増えた」とするのは短絡的で、実際には相関関係にすぎない。「暑い→アイスクリーム消費量が増える」「暑い→水遊びをする人が増え水死者が増える」という共通原因があるに過ぎない。」
(Wikipedia 因果性より抜粋)
アイスクリームと水死者の関係はさすがにおかしいと気づけますが…
このような因果関係についての誤りはよくあるようです( ̄_ ̄ i)
とにかく…
将来物事が起きるかどうかの判断…
自分と他人の能力を比較するときの判断…
物事が起こった原因を探る判断…
については直感に頼るな!!と「戦略の戦略家」は指摘されてます…
もちろん著者も直感の有用性は十分認めています…
日常生活ではあれこれ考えたり分析したりするより直感で決め行動したほうが効率的…
と…
結局はその判断の重要性…と
判断の材料になる情報の量、によるのかなと思います…
重要性が高く情報が多いなら熟考…
重要性が高く情報が少ないなら直感…
重要性が低いならどっちでもよい…
もし直感に頼ると決めたなら…
直感にもとづく判断を検証することも重要です…
そしてその判断が誤っていた場合に修正できる柔軟性をもつこと…
自分の判断ミスを認める…
これが思ってるよりむずかしい…
株式を売買している身としてはこれがいかにむずかしいかは経験的によくわかります(>_<)
人生の重大事を直感で決断するなら…
注意点が…
まず、直感で判断すべきことなのか?ということと…
直感で下した判断を検証し、誤っていた場合は柔軟に修正できること…
「 問題は、いったん藁に飛びついてしまうと、藁よりもっと良いものがすぐそこにあるかもしれないのに、もはや気づかないことだ。せっかく良いアイデアだと思ったことをいったん放棄して別の選択肢を探すのは、誰だって気が進まないものだからね。
こうしたわけで、人間は何かを思いつくと、それを疑いの目で見てあら探しをするのではなく、何とか正当化することにエネルギーを使うようになる。たとえ経験豊富なエグゼクティブであっても、だ。おそらくそれが人間の本性なのだろう。簡単に言ってしまえば、われわれは自分の考えを厳しい目で検証するという苦痛な作業をなんとか逃れようとする。だから最初の判断が正しいのだと理屈をつける。しかも自分がいやな作業から逃げたことを意識していない。…」
リチャード・P・ルメルト
戦略論と経営理論の世界的権威。エコノミスト誌は、「マネジメント・コンセプトと企業プラクティスに対して最も影響力ある25人」の1人に著者を選んだ。マッキンゼー・クォータリー誌は「戦略の戦略家」「戦略の大家」と命名。研究者としてのキャリアを通じて、つねに戦略の最先端を切り拓き、戦略の系統的研究を推し進め、コアスキルに注力する企業こそが最善の結果を残すという考え方を提示し、卓越したパフォーマンスを出す企業は業界に左右されるのではなく個々の企業能力によることを説明。リソース・ペースト・ビューの提唱者の1人であり、市場支配力をベースとしてきたそれまでの戦略論を転換させた。ハーバード・ビジネススクールにて博士号取得。現在はUCLAアンダーソン・スクール・オブ・マネジメントのハリー・アンド・エルザ・クニン記念講座教授。サミュエル・ゴールドウィン・カンパニーといった小企業から、シェル・インターナショナルといった大企業、またNGOや教育機関に至るまで幅広い組織にコンサルティングを行っている。