餅は餅屋 | 隣の芝生は青いのか? (大学・短大教員&ガンプラ)

隣の芝生は青いのか? (大学・短大教員&ガンプラ)

地方における大学・短大生活(研究・教育・社会貢献)の紹介とガンプラ制作記を発信していきます。それとともに、全国の大学に潜む問題点が浮き彫りになって行ければと思います。

私の勤務校では、各学科ごとにプロジェクトを申請して運用資金を獲得する仕組みがある。

私が邪推するに、学生のためにする、社会貢献のためにするというよりも、自分の学科がこんなに頑張ってますよと言うことをアピールするためだけに行われているように感じてしかたがない。


定員の少ない学科で、国家資格の取得等が無い、指導に余裕のある人たちが実施しているプロジェクトに類する物を、他の学科が立ち上げているからという理由で、定員過多で学生指導にも余裕のない私の学科がオプション的なプロジェクトを3つも立ち上げている現状を見ると、本来、標準装備として実装しているべき、保育者養成機能の低下に今後いっそうの拍車がかかるであろうことを確信する。


その兆しが、本日実習巡回に行ったところで苦情となって現れ、本県では一目置かれていた?本学の保育者養成の威信がガタガタになってきていることを再確認させられた。20数校ある隣県の保育者養成校は生き残りを賭けて保育者養成の質を高め、本県北部ではかなりの勢力を築いている。本学も全力でこれに対抗すれば、対等な勢力を維持できたはずである。これまで北部に巡回に行ったことの無かった私にとっては、大いなるショックを受けた。


待機児童問題等で保育者を大量に必要としている今日、また、保育者養成協議会等が保育者養成の四年制大学化を画策し、保育者の階層化を図ろうとしている今日、隣の市にあって撤退した某大学跡に、ネームバリューのある大手私立大学設立され、保育者養成に参入してきた場合、本学科は存続の危機に陥るのではないかと心配する。そう言うような事が起こらないためには、地域貢献への比重を、本業の保育者養成の質を高める方にシフトさせ、努力を重ねていく必要を感じる。


餅は餅屋という諺がある。


保育所保育指針に、保育所には子育て支援が義務づけられているが、保育者養成校に、子育て支援事業を求めているとは一言も書かれていない。


大学教員の職務は、研究・教育・社会貢献の三本柱で成り立っている。保育者養成校における大学教員の社会貢献は、むしろ、優れた保育者をいかに養成するかというところや、地域の保育者の保育の質を高めるための研修機関としての貢献がそれに該当するわけであり、保育所と競合するような社会貢献ではないはずである。


本県は餅の種類が多いが、本学科にとっての餅とは何であるかの再考(考えを持っていないのであれば熟考)を要する。