「為替と株価」から「日本復活」のシナリオを考える
2024.4.30(火)
伊東 乾
抜粋JPプレス
いま、N期の売り上げが
100ドル×120円/ドル=1万2000円
だったとしましょう。
ところがN+1期には業績が5%悪化して、売り上げが95ドルに下がってしまった。そうなると本来は
95ドル×120円/ドル
=1万1400円
の収益になっているはずです。ところがここで何ちゃらミクスの手品で円安が誘導されたとしましょう。
10%の円安で1ドルが120円から132円になったとすると、あらあら不思議、
95ドル×132円/ドル=1万2540円
と、売り上げが伸びたかのごとき「その場しのぎの見せかけ」ができてしまったではないですか!
国難級の円弱になっても、日銀総裁がぱっとしないコメントしか出せない本質的な骨格がここにある。
いま海外で100ドルの値がつく品物を輸入するとします。為替レートが120円なら円建てで1万2000円準備すれば購入できますし、円高になってレートが100円なら1万円で済む。
1ドル150円の円弱では1万5000円、1.5倍の円貨が必要になる。
円というお金の価値が国際的に低くなっている、お金に価値がなくなってしまっている。
日本に資源がありますか?
石油でも鉄鉱石でもレアアースでもよろしい。原材料となるもので、この島国が自弁できるものは・・・ほとんどありません。
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日本は原材料を輸入し、加工して付加価値を付け、輸出して差益を生み出す。イノベーションなくして日本の立国はあり得ません。
仮に「輸出成績」が良いように表面上、帳簿を糊塗したとしても、物資を輸入しなければ産業が成立しない日本では、原料調達その他で「円安」が確実に国富を蝕んでいく本質的な宿命を負っている。
この点に注意しなければなりません。
見かけだけは業績が上がったように粉飾して、中身のない決算で株価を維持しても、一種のバブルなわけですから、いずれ泡沫は弾けます。
短期的に帳簿の見てくれを良くして「株価維持」などしてみせても、中長期的には経済は確実に疲弊し、国力は消耗を免れない。
こうしたことが、本当に「理解」できない程度に代議士諸氏の基礎能力が低下していないことを、心から祈るばかりです。
日本は「資源がない」けれど、何らかの「付加価値」を世界に発信していくことで国を建てていかねばならない。しかしここまで「円弱」になってしまった。どうしたらいいのでしょうか。
答えはシンプルで「原材料を輸入せずとも付加価値を輸出できる『情報産業』で起死回生の快復を狙うべき」ということです。
現状はとんでもないことになっており、高価なNVIDIAのボード輸入など「グローバルAI商戦」で日本は「いいカモ」程度の役割を担いかねない惨状を呈している。
私は国立大学法人の「情報部署」の教官ですから、「情報産業」からの国力回復を説く、実にシンプルな話です。
初期投資ミニマムでも、グローバル状況のなかで勝負に出られるシーズをいかにして労作するか。抜粋おわり
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