口の中の砂 | スライダーズおやじ

口の中の砂

末っ子くんが数週間前に部活動(アメフト)で右脚をヤッちゃって、しばらく引きずっていたんだけど、父親としてはその怪我をあまり気にとめてなかった。

月曜日は一緒にバイクでラーメンを食べに行ったあと、TOCのユニクロまでカーディガンを買いに、末っ子は一人で出かけて行った。自転車にはまだ乗れないということで、2時間くらいかけて徒歩で往復したらしい。


徐々に回復してきたようで、今日は家に帰ってきてからも筋トレに勤しんでいた。脚はなおったのかいと、僕からはじめて怪我について触れた。だって、何もできないほど悪い時は、訊いたところでどうにもならないから。

末っ子は腹筋で汗を流しながら、症状についておしえてくれた。この怪我は捻挫とか脱臼とかではなく、膝関節の軟骨が『捻り』で潰れたというもので、その三角ナントカという軟骨は二度と再生しないということだった。

半月板に溜まった水(血)を定期的に抜きながら、筋肉の増強で関節への負担を軽くするという方向だそうだ。スポーツをやっている人間は、身体が消耗品だということを知っていなければならない。その意味で、末っ子は既に覚悟があったといえよう。

全日本ラグビーの代表選手だったある方と親しくさせていただいているんだけど、彼の身体は現役時代からガタガタだったという。

それでもラグビーが好きで、身体を騙しながら、チームと一緒に戦いたい、日本代表になりたいという一心で、すべてのハンディをねじ伏せてきた。

末っ子の姿勢を見ていると、彼にかぶる。大怪我をしても回復して試合に出て仲間たちと一緒に汗を流したいという、熱い情熱を持っている。春には副部長に就任することも決まっている。

責任感のあるやつだから、絶対に克服するだろう。


末っ子の夢は、防衛大学校に進学し、自衛隊幹部になること。防大入試は学力だけではなく、運動能力も試される。いま、彼の頭の中には、輝かしい未来がつまっているに違いないと、そう感じた。彼は今の困難を、困難とも思わず、乗り越えるだろう。

自分の話で恐縮だが、僕も一生車椅子と診断され、障害者手帳の給付を勧められていた時期があった。しかし毎日、自分が自由に歩き、走り回ってる姿を朝晩強くイメージした。そしていま、思ったとおり、健常者としての生活を送ることができている。ささいなことだけど、そのときは幸せにもネガティブな感情は一片もなかった。

怖いもの、痛いことから、逃げることが悪いとは思わない。逃げた先にも必ず幸せなんてのは転がっているし、目の前のそれが違うと思えば、いつからだってやりなおすことはできる。ハタチからでも、50からでも。
 
しかし、逃げないことはおそらく、いいことだ。
言い訳を排除し、簡潔で明るく、目標に向かうことは、自己実現に有利。脳のある奴はそれがわかる。

わからない煩悩の民は、地べたを這って、学び取るしかない。誰もがどちらでも、好きな方へ行けばいいと思う。口の中の砂の味は、どっちの道を選んでも、必須履修科目だ。

砂はただの砂。何も考えずに、吐き出して足でふみつければいいだけだ。砂の味に意図をこじつけ、経緯を刻み、後生大事に引きずっている奴は憐れでしかない。

人のせいにしてもしょうがないのが、自分の人生。 
誰もがきっと、よくなる。

自分に納得して死んでいきたいものだ。
HEROESを観て、いろいろおもった。 

 
あ、はなしがまとまってない!