↓ロジウムと金メッキの比較



1に続いてバナナプラグを設置面積、面圧、共に優れるYラグに交換してみる。


バナナはフルテックを使用したが、Yラグはオヤイデを購入してみた。





↑フルテックのYラグも使用した事があるが、ネジタイプはバフ掛けによって厚みにムラがあり、ポストをしっかり締めてもグラついて緩みやすく端子としてイマイチだった。因みに写真のYラグを買ったのは10年以上前なので、今は改善されているかも知れない。




↑常識的な太さのケーブルを使用する限り、ORBの端子は最適解である。


それからYラグは切り抜いた銅板を曲げて作った形状のカシメ専用品を愛用していたが、カシメてしまうと元に戻す事が出来ないので、オヤイデを試してみた。



追記 : この後この端子を使用したが、WBTポストに干渉した為、加工が必要だった。



↑逆にバナナはオヤイデのものは先割れタイプとなり接触面積、面圧共に心とも無い。ケーブルに触っただけで音が途切れたり信頼性と言う面であまり好きでは無い。





オヤイデのYラグを選んだ理由は2つあり、一つ目はイモネジが他社製より大きくケーブル全体を抑えられる点。



↑一般的なものは真ん中しかネジが当たらない。


通常はケーブルの真ん中だけ押さえてイモネジの左右に逃げた銅線は遊んだ状態になってしまうのだが、オヤイデのYラグは銅線を挿す穴よりイモネジが大きい。


加えてイモネジが大きい事でナメる事を心配せず大トルクをかけられる点も利点である。



もうひとつは、スペード部分が平らな事。手持ちのオヤイデ製品は肉厚なものもしっかり固定できたのでコイツもいけるだろうと踏んだのだ。通常、カシメ用のYラグは銅板から切り出したものを曲げて作られるのだが、このネジ止めタイプは銅の棒から作られる。ケーブルを挿す方はドリルで穿孔するのだが、スペード部分は丸いものをプレスして平らにし、それを磨き上げる為厚みを均一にするのが難しい。


とりあえず開封してすぐにスピーカーのポストに突っ込んで確認したが、厚さは一定で締めればグラつく事は無く一安心。


穴は想像以上に小さく、5.5sqまで使えるはずだが挿すのに苦労しそうである。ただ、先が広がった銅線も挿しやすいように内部がテーパー状になっており、細やかな配慮に感心する。





この手のYラグは簡単にショートしてしまうので、取り付けの際はアンプの電源を必ず落とした方が良い。


アンプ側を繋げて+をカチッとぶつけただけでアンプが召されてしまう危険がある。


今回、工業製品としての美しさに見惚れて収縮チューブは使用しなかったが、良い子のみんなはしっかり付けた方が良いだろう。


また、金メッキはデリケートなので締め付けなどで傷つけない為にこちらもケイグを使用した方が良い。ポスト側もケイグをつけた綿棒で擦る事で酸化被膜を除去出来る。






音質比較



果たしてバナナとYラグの音の違いなど聞き分けられるのか。




以前の極太ケーブルから細いケーブルに交換して、中域の解像度が飛躍的に上がったのだが、最低域が引っ込んでスケール感が無くなってしまい、正直映画の迫力などはかなり減退してしまった。


出張中ふとバナナをYラグにしたら痩せた最低域が少しはマシになるのではと思いたったのだが、バナナプラグでも鳴らし込むうちに下もかなり出るようになり、何より高域も金メッキに変更した事で音にまとまりが出てしまい、Yラグによって通電性が上がるとむしろバランスが崩れるのではと言う懸念が生まれた。ケーブルの取り回しも美しいし少しくらいの差ならこれで良いと思ってしまっている。


しかしせっかく買ったのでとにかく実験だけでも。


先ず、ケーブルで引っ込んでしまった最低域とはバスレフに設定された50Hz付近なのだが、ここがかなり帰ってきた。


細いケーブルにしてすっかり腑抜けてしまった、水星の魔女「the witch from mercury」が大迫力で展開し、明らかに音場が拡大しているのを感じる。


それどころか全域の力感が上がり、やはり瞬間的に電流を流すと言う点でYラグは圧倒的にアドバンテージがあるようだ。ジャズのドラムのアタックのリアリティも特筆ものである。


狙い通り、ケーブルを細くする事で解像度と引き換えに失った、パンチの強さとスケール感が端末を変えただけで補完されてしまったのは驚きだが、以前の極太ケーブルにこのYラグを使えば更にスケール感が増強されると言う事だろう。


一方で、低音が出れば相対的に高音が引っ込んで全体的こもった印象になるかと思ったが、瞬間的に立ち上がる音に力感が乗っただけで、全体的なF特に大きな変化は感じない。 唯一50Hzから下だけがしっかり出るようになった印象だ。




最高の端子は金メッキのYラグと言う結果に





透明感を演出出来るロジウムは調味料で言うと柚子を連想させる。数滴でさっぱりさせてくれる代わりに旨みや濃厚さも無くなってしまう。ロジウムもスッキリ寒色と言う点はいいが、力感が削ぎ落とされ高音のクセも気になる。

フルテックはハイエンドグレードはロジウムメッキしか選べないものが多く、ロジウムを選んで置けば間違いないと思っていたが、小生の好みでは無いようだ。


ゴールドメッキは低域から高音にかけてしっかり出るものの、超高域が僅かに物足りないが、これは耳がロジウムの音に慣れてしまっていると言うのも大きいだろう。


オーディオ歴15年。気分でロジウムも金メッキも使用して来たが、その大半を好みでないロジウムを使って来た事実が今となっては滑稽である。



↓オススメしたいのは金メッキだがこちらはロジウム。執筆時、金メッキはAmazonで見つけられなかった。


最初から全ての端子をORBの金メッキのYラグでカシメてしまえばそれが最適解だった訳だが、メッキの違い、バナナとYラグの違いを分かった上で選択するのではまるで意味が変わってくる。


小生はカシメがベストだと考えているが、ORB以外の端子はかなり高額なカシメ器が必要になるので注意。




カシメ部も太過ぎて細いケーブルには向かないのだが、これらの端子のレビューには「硬すぎてしっかりカシメられないので☆一つ」なんてものもあり笑ってしまう。


一般的なカシメタイプは14sq以上の工具が必要だが、常識的なサイズで設計されたORBの端子は8sq用でカシメる事が出来る。



1mm厚の銅板からくり抜かれたYラグは実はかなり締め心地がしっかりしており、安っぽい見た目とは裏腹に端子として完成されている。それ以外の製品はほとんどが2mmの銅板から作られており、30cm程の工具ではしっかり締め付けるのは困難、細いケーブルにも向かない。


巨大なカシメ器もアマゾンで簡単に購入出来る時代になったが、そこまでしなくても今回使用したYラグはカシメに近い信頼性がある。





↓今回使用したYラグのシルバー+プラチナメッキバージョン。ロジウムと金メッキの中間的特性と言うのが本当なら試してみたい逸品ではある。








↓ロジウムと金メッキの比較