今日は「イミテーション・コンプレックス」について考えてみたい。2002/7アルバム「カシス」に収録されている。メロディーも含めて曲全体から、何かに追いかけられている印象を受ける。陽水自身が女性、しかも魅力的な女性から追いかけられているのではないだろうか。日常では考えられないことであり、私なら逃げる理由はないし直ぐに捕まってしまうだろう。一体何が起こっているのであろう。
「ギャラリー」、「フィクション」は女性シンガーへの楽曲提供についての心境を語った曲であると書いたが、それから更に10年後の同じ状況を歌ったものではないだろうか。曲を作ってくれないかという依頼に対し逃げ回っているという心境のようだ。
「夜を低く冴え渡り 恋を感知するセンサー」。誰に楽曲を頼んだらヒット曲が生まれるのか、女性シンガーは鋭いセンサーを装備しているようだ。「恋の数を正確に決めて レイプする令嬢」。この人だと決めたら有無を言わさず迫ってくる。「星は全部、イミテーション」。そんなやり方で迫ってきても上手くいくはずはないのにと一蹴している。「恋の行方追いかけて 北の最果てに急行」。陽水にとっては、北海道最北端まで逃げるのが最果てというイメージのようだ。
「過去を変える計画に 君も参加して喧嘩」。過去のヒット曲とは異なるイメージでとお願いされてもね。「身に余るラブロマンス 悶え苦しむレンブラント」。こうしたいあうしたいといろんな要求を言われてもこれだと思えるアイデアがなかなか浮かんでこないことで苦しんでいる様子が伺われる。1980年頃に始まった他のミュージシャンへの楽曲提供が20年以上も続いているのである。