今日は「WHY」について考えてみたい。1987/12アルバム「Negative」に収録されている。何かに別れを告げようとしているようだ。しかしそれはとても辛いことのようで、別れたいという気持ちと別れたくないという気持ちが激しく、しかし静かにせめぎ合っているみたいだ。別れたいという気持ちの中には前に進むために決別しなければならないという決意が含まれているのかもしれない。
「WHY 青空はいつも WHY たそがれてゆくの? WHY 流れゆく雲に WHY サヨナラと言うの?」。青空で思い出すのは1975/11リリースの「青空、ひとりきり」なのではないだろうか。「氷の世界」のヒットで追い求めていた目標を達成して社会的地位を築いても、満足感に浸っている様子はなく、ひとりぼっちで孤独を感じていると書いたが、そんな時代が懐かしくもあり、また一方で戻ってはいけないという気持ちも強いのであろう。
「WHY 見つめあう恋は WHY 離れてゆくの? WHY 求めあうごとに WHY こわされてゆくの?」。こわされてゆくで思い出すのは1974/10リリースの「ゼンマイじかけのかぶとむし」なのではないだろうか。男女の恋愛が彼女の冷たい笑い顔で破局になったと気づかされたと書いたが、そんな時代が懐かしくもあり、もういいやという気持ちも強いのであろう。
「WHY 明日からの恋は WHY 終わらせてゆくの? WHY いつまでも夜に WHY 残されてゆくの?」。いつまでも夜に残されてゆくので思い出すのは1982/12リリースの「とまどうペリカン」なのではないだろうか。恋愛から新婚の時期は、男が主導権を持てるが、子供が生まれると、生活が一変して女性が強くなると書いたが、そんな時代が懐かしくもあり、もう戻りたくないという気持ちも強いのであろう。1980年代後半は、他のミュージシャンへの楽曲提供を控え新しい展望を模索していた時期であるので、その過程で過去に作った歌を回想し、そして同時に別れを告げようとしているのではないだろうか。