今日は「嘘つきダイヤモンド」について考えてみたい。1995/12シングル盤としてリリースされている。最初にタイトルであるが、さりげない嘘も時には大事であると言いたいのではないだろうか。例えば毎日の食事であれば、作ってくれたことに感謝の気持ちを持つことと同時に、多少味が好みじゃなくても美味しいと言っておけば、明日もまた気持ちよく作ってもらえるわけである。その程度の嘘が時にはダイヤモンドのような高価なものになり得るということだろう。

ヒビ割れた砂漠からはバラクーダー ひからびたラクダ達のイマジネーション 休ませてもう 日が暮れた今日」。ヒビ割れた砂漠を危険な牙を持つ獰猛なバラクーダーに例えているようだ。そんな過酷な砂漠を旅してきたラクダ達は、日が暮れたら今日の旅はもう終わりだと思っているのだろう。「長すぎる道をたどるアラビアン だけど恋する以上 果てしない話 王様とお后の瞳に浮かんだ 嘘つきで さりげなく光るダイヤモンド」。そんなラクダ達の背中に乗って長旅をしてきた王様とお后にとって、相手に対する恋心を抱きながらこれからずっと一緒に進んでいこうとするなら、互いを信じることと同時にさりげない嘘も大事ではないだろうかと。

なけなしの金をさばくカードディーラー 暗がりな部屋の中を浮き沈む月 時々はHigh ほとんどがLow」。負けが込んでいるカードディーラーは、真夜中になると気持ちが落ち込んできてしまうと。「トキメキはめくるまでのサスピション だけど恋する以上 夢のない話 最後に配られたカードの裏には 嘘つきで さりげなく光るダイヤモンド」。カードゲームに魅入られている以上、カードディーラーを続けて行くのであろうが、気持ちが昂るのはカードをめくる瞬間だけで、結局は更に負けが込んでしまうのが常であると。

たそがれた街はすでにおとぎ話 あかぬけたモデル達の野蛮な水着 のぞくのはジョー つれないなゲイ 欲望を確かめ合うレズビアン」。たそがれた街には、ゲイやレズビアンも刺激を求めて集まってくる。「だけど恋する限り 罪のない話 真夜中にそびえ立てた中指の根元に 嘘つきで さりげなく光るダイヤモンド」。互いに相手を求めて心にもない甘い言葉を囁きながら欲望を確かめ合うのであろう。

気がついた時はすでに南極あたり 寒すぎて忘れかけた孤独な旅路 凍えたらヒョウ 降りしきるSNOW ここからは北極までが君しだい」。二人で旅を続けてきた人達にとってこれから先、更なる逆境に立ち向かっていこうとするのは、相手しだいであると。「だけど恋する限り 果てしない話 オーロラの扉を祈りながら開けたら 嘘つきでさりげなく光るダイヤモンド」。逆境を乗り越えた先にきっと素晴らしい世界があると信じて立ち向かって行っても結局は裏切られるではないだろうか。