今日は「今夜」について考えてみたい。1988/9シングル盤としてリリースされている。今年の夏は連日猛暑が続いており、その状況にぴったりの曲ではないだろうか。日中は外出を躊躇するような暑さであり、日が陰り始めて夜を迎えるのが待ち遠しい気分である。先日、昼頃に駅から歩いて帰ったのが原因か片頭痛が起こり、普段頭が痛いことがないので気になってMRI検査をしたのであるが、幸い脳には異常が見られなかったが、検査中に気持ち悪くなり閉所恐怖症なんだろうかと初めて感じたわけである。テレビのニュースで「千葉県勝浦が涼しい」とのこと。地形や潮流が影響しているという報道に、必ずしも緯度や高低だけの影響ではないところが面白い。
猛暑については、陽水の初期の楽曲で「かんかん照り」が思い出される。特に「帽子を忘れた子供が道で 直射日光にやられて死んだ」というフレーズは、1945年8月に広島、長崎に投下された原爆のことを指しており、「僕の目から汗がしたたり落ちてくる」とは、この原爆投下で亡くなった人々にそっと涙しているのであると書いた。「今夜」についても、同じような表現が見られる。「遠くで誰か泣いてる様な気がする」。猛暑が続くことで、亡くなる人が増えたり、苦しんでいる人のことを想像しているようだ。そして、「夕暮れからたくさんセミが鳴いてた」。そんな人を想像してそっと涙しているのである。間接的な表現で自身の心情を表現しているのがいかにも陽水らしい。