[口癖ある?]これだから現世はクソ
12/20 23:06

さて奴隷ときたもんだ。差し出された身体は肉体労働に耐えうるようには出来ていなかったし、不器用な手付きは家事さえも万全にできるとは思えなかった。雑渡は「僕をあなたの奴隷にしてください」と頭を下げた伊作の旋毛をぼんやりと眺めつつどうしたものかと考えた。尋常ではない。
12/22 1:25

尋常ではないが、雑渡の方にも決して常識的とは言えないくらいの伊作に対する思い入れがあった。奴隷か。正直魅力的であり、受け入れたいところであるが っていう雑伊の未来にキスを
12/22 1:28

愛に雪、恋を白
12/22 22:59

ぼんやりとした頭ではなにもかも思い通りにはいかなかった。手足は生温い泥を掻くように不自由な様相をみせ、彼に肩を借りなければ僕はとっくに儘ならない身体になっていた。「飲みすぎるとはね。これだから限度の知らない子供は」
12/23 4:36

甘やかされていた自覚はあった。だからいつもより多く杯を重ねていた僕を見て見ぬふりしていたのだろう。しかし彼は今正に後悔している。彼の肩に寄り掛かり立つのもやっとな赤ら顔の僕は、冬の森々とした空気が降り積もった厠への道を彼と共に踏みしめている。
12/23 4:39

最初は幼子のときに感じた全能感に似通った気持ちで頭がぼうっと灯心を灯したようになって、ならば彼に甘えたとしてもそんなに罪にはならないだろうと考えた。首筋に顔を近付け、その冷っこい皮膚に己の頬を寄せると彼は戸惑うように身を捩る。それでも突き放したりはしなかった。
12/23 4:43

その次に、眼前一面に広がる火傷跡へ口を吸わせると優しい声で叱咤された。「酔ってるね」それは僕の耳奥で甘やかされた三味線の音のように聞こえた。「酔ってません。酔ってませんよ」譫言のように繰り返した。それが正しいことだと思っていた。自分はまだ普通で、ただほんの少し気持ちが良いだけだ。
12/23 4:47

足先が火照って仕様がなく、着流しから覗く彼の冷たそうな脛にくっと擦り付けたら「まったく」と溜め息を吐かれ、まるで赤子をあやすように抱き込まれた。「伊作くんは悪いね。実に悪い」ぽん、ぽん、と調子よく背中を叩くものだから僕は瞼を溶かしてしまった。まだ柔らかな彼の目線を見ていたい。
12/23 4:52

それはどんな光より暖かく、どんな水より僕を生かした。だから僕はぶるりと震えた下腹部を気にせずにいたけれど、それでも内股を擦り付けなければやり過ごせないぐらいには限界が来ていた。でも少しだけ気持ちいい。彼の前だから尚更だった。「ざっと、さん」僕の言葉は言った端から柔らかく溶ける。
12/23 4:56

「おしっこ、いきたい」流石の彼もこれには驚いた様子で、だからか知らないが僕を支える彼の指先が一瞬だけ強張ったのがわかった。「…ひとりで」僕は仕方なく自力で立ち上がろうと床に手をついたが、すぐに力が抜けて彼の胸の元いた場所にすっぽりと収まった。見上げれば彼の表情は困惑の色を示す。
12/23 5:00

「…無理だね」彼は僕を掬うように立ち上がらせると、そのがっしりとした肩で僕の身体を支えた。そして部屋の隅に無造作に置かれていた半纏を僕の頭に被せ、僕の覚束ない足取りを厠へと導いた。
12/23 5:07

僕はしゃがんでいて、その足の間に彼の顔があった。恥ずかしくて、出すのをやめようと尿意を我慢すればするほど尿道の奥の方が疼いて、どんどん気持ち良くなっていった。彼は僕がその場所から放尿するのを楽しみにしている。
12/23 5:12

#140novel 「聖夜ですよ」呟いたその口許をじっとみて、また夜の空に目を移せば、何も起こらないのに、と君は目を伏せた。白々しい星屑が渦巻く夜空にはただ君と私の白い息のみが浮かぶ。何も起こらないさ。それが一番幸せだ。何も言わず頭を撫でれば、君は私を見上げ幸せそうに笑った。
12/24 22:55

彼の踵に口を吸い付ければ腿と脹ら脛のものものしさを知り、腹に手を寄せれば薄いながらも頑なな筋肉が引き延ばされ彼を覆っていたのを知った。温かな脈動を繰り返す皮膚と、股間近くの薄く冷たい皮膚はその温度差で私の認識に居座るほど存在感を託した。彼は泣きそうな顔でこちらをみる。
12/25 1:19

火照った頬にぼやける潮をかさついた指の腹で拭えば、己と違うすべらかな皮膚を私の親指はじっと辿り、私はそこに明らかに複雑でしかし見事に単純な存在を知ってしまった。彼の身体のものものしさは私には到底のものだった。彼の肌には触れまいと心に決めていた筈なのに。愛しい彼は、涙まで重い。
12/25 1:24


星が綺麗だとか、そういうのにアイツは頗る敏感で、練習後の硝煙がまだ鼻先で燻っている時にアイツは迷わず「あ、一番星ですせんぱい」と舌足らずな言葉で僕に伝えた。群青がどんどん熟した柿色の空を藍染めてアイツの背後に迫っていたけど、決まってアイツは構わず笑ったのだ。
12/12 23:34

せんぱい。私のことをそう呼ぶ、アイツの声が好きだった。夜が生き物のように大気を飲み込んで、月が浮かぶそこには木々の枝が毛細血管のように張り巡らされていた。虎若、私の大切な後輩。握る手だけが熱く火照っていた。
12/12 23:38

「大丈夫ですよ。例え千人葬ったとしても、千一人目を助けちゃいけない理由にはならないんですから」
12/13 0:50

まず指が手の甲に触れて、それから内側にするりと滑り込んでくる。戸惑うようにおずおずと、だけど軽快に足踏みを踏んで、僕の心の裡にやってくる思いの丈は何もかもいっしょくたにして、あなたの優しさも残酷さもすべて抱き抱えてしまった。
12/16 23:49

あなたが握る僕の手が、どうかあなたにとって柔らかく、それでも強く優しさを保有してますように。僕は与えることが出来ないから、せめてあなたが僕から奪ってくれることを、ずっと願っている。
12/16 23:51

良くないことはいっぺんに起こるものだ、と雑渡は伊作の肩に湯をかけながら言った。ただそれだけだ、それだけだよ伊作くん。その言葉はぼんやりと湯気に絡まり温かく伊作を包んだが、伊作は何も言わずぽつぽつと涙を流していた。雑渡は伊作の体を洗う間、話を絶え間なくした。
12/17 2:14

今の伊作には言葉が必要だった。嘘でもいいから空っぽの伊作に言葉を詰め込み、やがて彼から生まれでてくる物語に向けて用意しなければならなかった。雑渡は伊作の腕を湯に浸した絹で擦り、つるりとした石鹸を細かく泡立て、伊作の肌を拭いた。行程は順調だった。
12/17 2:21

泥まみれだった伊作の隅々をきれいにして、ようやく雑渡は伊作を湯の張った浴槽に入れることが出来た。身体を丸めた伊作を抱えて、湯の中に沈ませれば、伊作の頬から溢れる涙が小さく波面を作った。
12/17 2:27

伊作が二三度だけ過ごしたことのある雑渡の私家へ野分のような音を立て転がり込んだのは、ちょうど月が丸く中天を飴細工のような影で覆っていた今夜だった。雑渡がとんと一度だけ叩かれた戸を開けたとき、伊作は泥と破れだらけの衣服をまとってその場に立っていた。
12/17 2:32

唖然とする雑渡を見返すその目は、ただひたすら庇護を求めていたと思う。そういえば雑渡の方が伊作に世話を施すのは初めてだと、湯面を揺らす伊作の涙と吐息を聞きながら雑渡は思い巡らす。伊作から包帯を巻いてもらうとき、雑渡はいつも伊作の指先のことを考える。丸く、柔らかく、温かいそれ。
12/17 2:37

ただ自分だけが彼を求めてると思った。違うと知ったとき酷く嬉しく思ったが、それが忠義のある態度であるかどうかは知らない。ただ、彼が私の目を、か細い庇護を欲するその目で見返すとき、胸の奥深くに潜む欲望が小さく唸るのは聞こえた。
12/17 3:10

戸惑うことさえさせてくれないのに
12/18 2:14


此処は紅葉が美しいんです、と彼は蓮根を丁寧に折りながら言った。「学園長がよくお昼寝にいらっしゃるので」寝るまで目を楽しませたい、ってこと?疑問符を付けて彼に投げ掛けると彼は困ったような笑みを口許に浮かべた。
11/28 2:32

「風流だね」掌に落ちてきた赤い栃の葉をくるりと指先で回せば、彼は紅葉狩りでも致しますか、と愛くるしい笑顔をこちらに向けた。「最近お忙しかったのでしょう?」「言う程でもないよ。君に会えないのは苦しかったけどね」きょとんと目を丸くする彼に
11/28 2:35

心裡で鈍感だと詰りながらも、そこがまた良いのだと一頻り含み笑いをして、彼の頬にそっと手を伸ばす。指先に摘んでいた紅葉でかさついた彼の頬を撫でると、色が移るようにそれも赤くなった。「紅葉狩りもいいけど、私はこうしたいな」
11/28 2:42

そっと紅葉を髪に挿すと、彼は目を伏せてちらりと視線を下へずらした。「揶揄うのは止めてください」目元さえ真っ赤に染めている。「雑、渡さん」彼が私の名を口にする為だけにどれだけの努力を積み重ねてきたのだろうことを思うと、気が遠くなるようだった。
11/28 2:46

わざと大人びた態度をとろうとするところも、それでも退かない子供特有の熱っぽさも全てが愛しく、だから私は負けてしまう。今日こそはと挑んだが、今ではただひたすらに彼を愛でたい。「……じゃあお茶、頂けるかな?」囁けば、少し落とされた眉尻に僅かな脈を読み取って私は一喜一憂としてしまう。
11/28 2:51

「お団子もご用意しますね」そう早口で言って、いそいそと奥へ向かう彼に煮え切らない思いを抱きながらも、庭先の紅葉は私の目に尚更綺麗に映るのだ。
11/28 2:53

紅葉狩りで雑伊書きたい。甲斐性無しと背伸びしたがり。あと学園長が植えた木をやたら説明したがる伊作くん。保健室の庭は学園長がサボりに来るから視覚的に優遇されてれば良いのに。最高のデートスポットですよ雑渡さん!
11/28 2:57

うおああああああうおああああああ!仕方ないのか!仕方ないのか!というか雑渡さんが伊作くんにつくのは周知の事実か!周知の事実か!
12/2 20:58

伊作くんほんとお前、つかえねーなっ!つかえねーなっ!大好き!
12/2 20:59