「子どもが全然自分の言うことを聞かないんです」
「遊んでばかりで全く宿題もしないし、ケンカばかりしてほんとにヤンチャで…」
「学校に行かなくなりました。何が不満なんでしょう?」
そんなふうに悩まれてご相談に来られるお母さんが結構いらっしゃいます。
僕は密かにこう思います。
「いいお子さんですね」
って。
じゃ、どうでしょう?
何でも親の言うことを聞く。
全く手がかからない。
おとなしくて従順で…
…こんなお子さんだったらいい子なんですか?
それは単に親が楽だからじゃないんですか?
そこにはこんな期待や思い込みがありませんか?
「親の言うことを聞くべきだ!」
「良い学校に行くべきだ!」
「収入のある人安定した職業につくべきだ!」
「結婚すべきだ!」
…とか。
それって、本当に愛なんでしょうか?
なぜなら、こうした思い込みは、逆に言うと「私の言うとおりにしてくれたら愛するけれど、そうしないとお前のことを愛さないよ」という裏メッセージになっちゃってるんじゃないでしょうか?
だから子どもはがんばる。
必死にがんばる。
親に認められたくて。
親に愛されたくて。
多くの親御さんは、自分の所有欲を愛だと勘違いしているかもしれません。
徳島でカウンセラーをしている時にこんなご相談を受けたことがありました。
「先生は洗脳を解くこともしてもらえるんですか?」
どういうこと?って聞くと、
うちの旦那、どうも騙されているようなんです。
自営業なんですが、一緒に事業しているパートナーにそそのかされて共同経営者としてやってるんですが、どうも胡散臭くてなんだか儲かってないのをぜんぶ旦那ひとりのせいにされて…
でも旦那は、「俺が悪いから」と言ってそのパートナーのことを悪く言わないんです。
私からしたら、そのパートナーにそそのかされているだけなんですが、旦那はぜんぶ責任を背負っちゃって、それでノイレーゼ気味になっちゃってるんです。
私は辞めてほしいんですが、旦那はそのパートナーに洗脳されてるんです。
だから洗脳されていることを認めないし、ムリしちゃっててこのままじゃ潰れちゃいます。
でもいくら説得しても聞き入れないんです。
僕には旦那が洗脳されているのかどうか、あるいはそのパートナーが本当に悪い奴なのかどうかは分かりません。
ただ、旦那さんがそこまでしいんどい思いをしながらもがんばっている理由ってなんだろうな…と思うんですよね。
奥さんの気持ちも分かりますが、旦那さんの考え方を変えるのは容易ではありません。
例えば、地球が平面だと思っている時代に「地球は球体なんだよ」と言っても、誰も当時は信じませんでした。
人は、一度信じた思い込みを変えるのは容易ではないからです。
某カルト教団の信者さんたちだってそうでしょう。
親が自分を教団から抜けさせようとして説得してくるのは、そうする親にこそサタンが憑依し操られているのだ!だから親を救うためにも自分の決意は揺らいではいけない!と余計に意固地になってしまうというものです。
教団にお布施をすることこそが、サタンから人々を救う唯一の正義なのだ!
以上、思考停止します。
と心のシャッターを下ろしてしまうんです。
なので人を説得するのは難しいんです。
でも、相手がそうまでしてそこにこだわってしまうのはなぜか?
を推察することはできます。
もしかすると…
愛に飢えていたのかもしれません。
自分を認めてくれる人を探していたのかもしれません。
子どもの頃から命令ばかりされて、その命令を遂行することでしか自分を認めてもらえないというビリーフを積み上げていたのだとしたら…
パートナーに認めてもらうことが唯一の自分の存在価値を示す選択肢なのだとしたら…
奥さんにできることはこれしかないでしょうね。
本当に行き詰ったとき、自分の疑問を感じたり、パートナーに裏切られたり、自分の失敗が間違っていたと気づいたときに、傷つき疲れ果てて帰ってくる場所がちゃんとあるんだよ。安心して丸ごと受け止めてもらえる場所があるんだよ…
「私はいつもどんな時もあなたの味方だよ」
と言い続けてあげることではないでしょうか。
それが、本当の愛なんだろうと僕は思っています。